今年のしないことを決めよう!「元気でいつづけない」「長生きしない」が人生をラクにする

暮らし

2019/1/10

『しないことリスト』(pha/大和書房)

 新しい年が始まった。なにか前向きなことを始めてみようと意欲に燃えている人も多いだろう。いっぽう、なんだかやる気が出なかったり、行動できずにいたりする自分をもどかしく思う人もいるのではないだろうか。

 しかし、人間、できるときはできるが、できないときはできない。そんなシンプルな真実をゆるく説いて、逆説的に元気をくれるのが『しないことリスト』(pha/大和書房)だ。2015年に単行本として刊行され、今回文庫化となった。

 著者は、京大を出ていったん就職したあと、執筆活動やシェアハウスの運営を行いつつ、現在は「のんびりと毎日寝て」暮らしているそうだ。会社員時代よりも収入は減ったが、自分には不必要なものごとをやめたことで、友達も自由時間も増えて毎日の幸福感はアップしたという。

 著者は、世の中のいわゆる「しなきゃいけないこと」の99%は「本当は別にしなくてもいいことだ」と説く。本書には、その極意ともいえる36の「しないこと」が4章に分けてリストアップされているので、各章から1つずつ紹介してみよう。

■第1章 所有しないリスト「自分だけで独占しない」

 モノも知識も、ひとり占めすることをやめて他人とシェアすることで、価値が倍増する。シェアハウスの取り組みも、著者の個人ブログも、興味を持った人は誰でも気軽に訪問できるように「ゆるく外に開いておく」ことで、どんどん輪が広がり、結果的に収入源となるまでに成長した。あなたもネットを活用して、いろいろシェアを進めてみよう。

■第2章 努力しないリスト「元気でいつづけない」

 途切れなく活動していると、無理がたまって潰れてしまうこともある。それよりも、小出しに休んで回復するほうが長い目でみるとプラスになる。疲労や風邪は不調を教えてくれるSOSのサインなので、それを前向きに捉え、強制的かつ積極的な充電・調整のチャンスとして充分に活用しよう。

■第3章 自分のせいにしないリスト「自分の実力にしない」

 いまの世の中は、何かネガティブなできごとやトラブルがあると、その人の自己責任として責めすぎるように思える。環境や病気など自分ではどうにもならないこともあるし、かといって全部周りのせいにする考えも本人をスポイルしてしまうので、失敗も成功も「自己責任は50%ぐらい」と考えておくと、自分にも他人にも寛容かつ謙虚でいられる。すべては「たまたま」だと思おう。

■第4章 期待しないリスト「長生きしない」

 人生が苦しいと感じるのは、世界が自分の期待通りにはならないからだ。現実を認識し、期待しすぎないようにすればラクになる。究極的には、命についても、「人間は必ず死ぬ」ことを受け入れ、長生きが当然だという意識を捨てれば、いま生きていることのありがたさがリアルになる。

 ここで挙げたほかにも、「自分を大きく見せない」「同じ土俵で戦わない」「差別しない」「絶望しない」「あえて何もしない」など気になる項目が目白押しだ。

 また、本書の冒頭「はじめに」では、世間の「しなきゃいけない」から解き放たれて自由に生きる方法について、著者の考えが記されている。

結局、自分の頭で「それは本当に自分に必要なのか」と一つ一つ考えていくしかない。
評価基準を自分の外に置いている限り、他人に焦らされるのは避けられないからだ。

 一見ゆるふわにも感じるタイトルの本書で、ハッとさせられる骨太な一節である。何事にも近道はなく、自分の心と頭を信じることの重みを改めて考えさせられる。ゆるっと読めてじわっと効いてくる、そんな1冊だ。

文=桜倉麻子