年齢を味方に! 男性ファッションのカリスマが選ぶ「大人女子」の最強ワードローブ

暮らし

2019/1/15

『干場義雅が語る女性のお洒落』(干場義雅/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 50歳の大台を越え最近とみに気になるのが、自分のボディシルエットの変化だ。特に体重は変わっていないのに、持っている服がどんどん似合わなくなってきたのだ。女友達と話してみると、みんな同じような悩みを持っている。これってやっぱり重力を受け続けてきたから? 今着ている服は私にはもう「年齢不相応」なの…?

 そんなとき目に留まったのが、あの干場義雅氏による、初の女性向け書籍『干場義雅が語る女性のお洒落』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)だ。干場義雅といえば、『LEON』や『OCEANS』といった人気男性ファッション誌の創刊に携わって「ちょいワルオヤジ」ブームをしかけた編集者かつ、テレビ番組のコメンテーターやラジオのパーソナリティ、そしてファッションブランドのプロデューサーでもある。まさに「男性ファッションのカリスマ」。そんな干場氏が大人の女性に向けて、「10年先もずっと使える究極のタイムレスワードローブ」を提案するというのだから、これは見逃せない。ボディラインの変化を駆逐する、男性ならではの斬新なアイディアが満載のはず、と早速本を手に取った。

 が、まず度肝を抜かれたのは、「究極のタイムレスワードローブ」のお値段だ。最初に紹介されるのが「ダイヤモンドの一粒ピアス」。続いて「腕時計」、「パールのネックレス」「指輪」…と、とても普通の主婦には手が届かない、ラグジュアリーブランドの逸品が紹介される。どれも定番中の定番で、外しのない永遠のスタイル、ということはよくわかる。それを身につけることができたらどんなに素敵か! でもそれは、「セレブ」が享受できるスタイルで、ただのおばさんには…。

「洋服が素敵と言われるのではなく、◯◯さんが素敵と言われるような女性に」とか「自分のためだけではなく、その場にふさわしく、一緒にいる人にとって心地よい服装というものを、身につけられるのが魅力的な大人の女性」など、グッとくる言葉がちりばめられているし、「干場4色」や「美味しいおでん理論」など、素材やシルエットに対する解説も明快。「ギャップの魅力」「健康=美」「大人は眉」…と、女同士では気付かない(つい見逃してしまう)「魅惑ポイント」に対する男性ならでは(本音たっぷりで、笑えてしまうが)の指摘も参考になる。ただ、そのために選ばれたアイテム、そしてそれを身につけたモデルの麗しい写真は、確かに「逸品図鑑」として眺めるには楽しいが、今すぐ取り入れるのは、私には難しいかも。

 ため息をつきながら最後まで読み進めて、そのラストコラム。「アウトレットやセールで本当に買うべきもの」を読んでハッと気付いた。そう、この本に載っているアイテムを今すぐ買わないと、タイムレスワードローブは手に入らない、というわけじゃない。あくまでもここに掲載されているアイテムを「見本」として、自分なりにいろんなブランドに行き、試着して、自分だけの究極の逸品を時間をかけて探せばいい、といっているんじゃないの? モデル写真も、もしもこれが70歳、80歳のおばあさんだったら? ベーシック&コンサバティブな装いだから、年齢は関係ないし、逆にものすごく格好いい! そう思ったら、この本がまったく違うものに見えてきたのだ。

 日本では確かに「若さ」がもてはやされる。とはいえ、この本を読めばわかるが、年齢を重ねたからこそ、大人だからこそ似合うものが、この世にはたくさんあるわけだし、「女性はダイヤモンドと同じ。30代は30カラット、40代は40カラット。50代は50カラット」という干場氏の言葉を信じて自分を磨けば、まだまだきらめける、異性をも虜にできるかも!?

「おばさん化」していく自分に甘んじて、最近よく耳にする「人生100年時代」到来に戦々恐々としていたが、「若作り」するのではなく「年齢不詳」になるための、「自分だけの逸品探し」にたっぷり時間をかけられるんだと思ったら、ちょっとわくわくしてきた。この本は楽しく美しい老後を過ごすための、究極のガイドブックになりうるかも。

文=川嶋 由香里