社員への「愛」は口じゃなく「お金」で示せ! お金に愛され、お金で人を育てる方法

ビジネス

2019/1/29

『お金は愛 人を育てるお金、ダメにするお金』(小山 昇/ダイヤモンド社)

 指導した会社は700社超。その中で倒産した会社はなんとゼロ。そんなデキる社長がいる。株式会社武蔵野代表取締役社長の小山昇氏だ。本書によれば、かつて武蔵野は落ちこぼれ集団のブラック企業だったが、同氏が16年連続増収に導いたという。その後、そのノウハウを紹介する「経営サポート事業」の展開を始め、大好評となった。

『お金は愛 人を育てるお金、ダメにするお金』(小山 昇/ダイヤモンド社)では、給料、人材、社員教育といった経営に関わるものから、夫婦、子育て、健康という日常に関するものまで、お金を使って「運」も「人」も「業績」も良くする習慣を紹介している。

 ここでポイントとなるのが、「生き金」「死に金」という考え方だ。「死に金」とは、使ってもあまり効果のないお金のこと。なんとなくの習慣で新幹線の高い席に座ったり、短い距離でもタクシーを使ったり、そんなに必要のない贅沢をすることだ。死に金の反対は、「生き金」である。資格や株式投資など将来のためになったり、使っただけの価値の生まれるお金のことだ。

 著者はその2つの違いを「自分のためだけに使うか、人に分けるか」と捉えている。ただ自分の贅沢のためだけに使うお金を「死に金」とし、人へお礼したり人のために分けたりするお金を「生き金」としている。なぜ人のためのお金が「生き金」になるのだろうか。それは、そのお金が信用を作り、人をやる気にさせ、人を育て、最終的に人の幸せが自分に返ってくるからだ。

 昨今は「やりがい搾取」がネットで広く論議されている。経営者が社員にやりがいばかりを意識させて、金銭報酬を充実させないことだ。そんな中で、本書は「社員への愛情はお金で示せ」という。

 給料のうち、基本給は年功序列にして社員の生活設計を立てやすくする。そのかわり昇進は完全に実力主義にして不公平をなくす。職責に応じてグループ手当をつけ、これで勤続年数が短い社員も、責任にふさわしい給料が貰えるという。一方、ボーナスは完全なる成果主義で決める。武蔵野が特徴的なのは、社員それぞれが自分の給与を計算すること。給与体系を公開し、それに当てはめて自分で計算することで、どのようにすれば昇給するか具体的に考えることができるのだ。

 ちなみに、これは読み手が信じるかどうかによるが、著者が金運を上げるためにやっていることがいくつかある。それは全て、お金に愛されるためだ。例えば、「赤いモノ」は徹底的に避ける。経営計画書や著書では赤い表紙や文字を使わないようにし、赤いネクタイは1本も持たず、赤いトマトは食べない。赤字を連想させるからだ。また、お金に「この人には大事にされている」と思わせるために、1円玉でも道に落ちていれば拾い、お札が快適になるように財布の中できちんと揃える。それから、「木枯らし」の吹く秋には財布を買わず、立春を迎えるまで待つという。

「やりがい搾取」が叫ばれている今、社員のためにお金を使える経営者は注目すべきである。社員のがんばりや生活を鑑みてくれる経営者には、信頼が寄せられ、そのやる気によって業績も良くなることだろう。そんな会社からは人が離れにくい。社員が自分の会社に愛情を持っていると、お客や取引先もその会社を信頼する。「愛はきちんとお金で示せ」というのは、今の社会に一番必要なことなのかもしれない。

文=ジョセート