浮気の周期は脳が決めている!? 離婚や転職の“周期”は何年?

スポーツ・科学

2019/1/24

『ヒトは7年で脱皮する 近未来を予測する脳科学』(黒川伊保子/朝日新聞出版)

 地下鉄の通気口の上に立つマリリン・モンロー。その白いスカートがふわりと浮き上がるシーンがあまりに有名な『七年目の浮気』は、中年男が結婚7年目に浮気心を抱いたことから巻きおこる騒動を描いた、1955年制作のアメリカのコメディ映画だ。実際、結婚してから7年目、14年目、21年目という7の倍数の年に離婚するケースが多いらしい。あるいは、転職も前職に就いてから7の倍数の年に起きやすいともいう。

「なぜ7の倍数の年に人の心に変化が生じるのか?」という謎に、脳科学の面からアプローチしたのが『ヒトは7年で脱皮する 近未来を予測する脳科学』(朝日新聞出版)だ。著者の黒川伊保子氏は、脳機能の研究と人工知能の開発に長年従事してきた人物で、その著作リストには『女の機嫌の直し方』(集英社)、『怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか』(新潮社)など、思わず手にとってしまいそうなタイトルが並ぶ。

■ヒトにとって特別な数字である「7」

 脳に7年周期で変化が訪れるという根拠は、次のようなものだ。

 まず、人間の脳には地球の公転周期を認識する機能があることが判明している。ようするに、人は誰しも1年という単位を無意識に認識しているということだ。そして、一般的に人がいっぺんに記憶したり把握したりできる情報は7個までで、これを心理学用語で「マジカルナンバー7」という。

 つまり、人間にとって7という数字は特別な数字なのだ。1週間が7日なのも、本来は境目のないグラデーションである虹を7色と認識してしまうのも、この心理的影響があるとされている。これらの要因が合わさって、7年周期で人の意識に変化が生じるというのだ。

■政治経済や文化にも「7」の周期が影響を及ぼしている!?

 本書でおもしろいのは、この7年周期の変化が、離婚や転職といった個人単位のことだけでなく、政治、経済、文化といった集団単位の動きにも同様の傾向が見られるとしていることだ。さらに、その変化は7年×8の56年で1周するとしている。

 たとえば、2017年にアメリカ大統領となったトランプは「メキシコとの国境に壁を建てる」ことを公約として掲げたが、その56年前には、東西ドイツを分断する「ベルリンの壁」が建設されている。また、2014年ごろに流行したアイラインの入れ方は、先が丸く跳ね上がった「キャットアイ」というスタイルだったが、ちょうどその56年前に誕生したバービー人形が同じようなアイラインを入れているという。

 もし、この理論が正しいとすれば、将来の政治、経済の動きや流行の予測をすることもたやすくなるだろう。もちろん、7年周期で変化が訪れるというのは、著者も断っているように、絶対にそうなるということではないし、仮説にすぎない。しかし――

「ヒトは7日で慣れ、7年で飽きる。そういう脳の持ち主である。だとすれば、人生も、7歳、14歳、21歳、28歳と何かに飽きて歳を重ね、49歳は、何かに完全に飽きるときなのではないか。と、ある日私は考えた。で、調べてみると、49歳は、男性の突然死と自殺のピークだという。女性の閉経の平均が49歳11か月である。脳はやっぱり、49歳でここまでの人生をいったん終えるようだ」

という本書の指摘は、なかなか興味深い。

文=奈落一騎/バーネット