ごはんは夜に2合炊く? ひとり暮らし歴が長くても改めて知りたい“ひとり暮らしのバイブル”決定版!

暮らし

更新日:2019/2/5

『あなたがひとりで生きていく時に知っておいてほしいこと ひとり暮らしの智恵と技術』(辰巳 渚/文藝春秋)

 本格的な受験シーズンに入り、いよいよ我が子がひとり暮らしを始めるイメージが現実的になってくると、親としては寂しさや不安で胸がいっぱいになってしまう。

 こうした気持ちを抱えている親御さんは、きちんと自立できるよう、我が子にひとり暮らしの知恵が盛り込まれた『あなたがひとりで生きていく時に知っておいてほしいこと ひとり暮らしの智恵と技術』(辰巳 渚/文藝春秋)を贈るのもよいかもしれない。

 ミリオンセラーとなった『「捨てる!」技術』(宝島社)の著者である辰巳渚さんが著した本書は、彼女の遺作でもある。不慮の事故により、52歳という若さで帰らぬ人となった辰巳さんはシンプルライフブームの先駆者であり、生涯にわたり「自立」の大切さを訴えかけていた。

 本書は自身の息子さんに向け、ひとり暮らしの智恵と技術を説いたもの。母親目線で記された、食や身なりへの心構え、お金の管理法は同じようにひとり暮らしをしようと考えている方の心に響き、親御さんに安心感を与えてくれる。

 本当の自立とは一体なんなのか。辰巳さんの温かいアドバイスは、その問いに答えを与えてくれるはずだ。

■ひとり暮らしを始めた最初の3週間はどう生き延びる?

 我が子にまったく家事の経験がないと、親としては「ひとりで生きていけるだろうか…」と不安になってしまう。

 そんな家事初心者でも参考にしやすいよう、本書にはひとり暮らしを始めた期間ごとにやるべきことや意識すべきことがまとめられている。

 ひとり暮らしを開始した最初の3週間は、慣れない環境の中に身を置いているため、「とりあえず、寝て食べていたら大丈夫」と思ってしまうことも多いものだ。だが、辰巳さんは実家での暮らしをお手本にして「すべき生活」を送っていこうと提案している。

 例えば、生きていく上で欠かせない食に関しては「ごはんは夜に2合炊く」「まずは一膳一菜を意識する」と、具体的なアドバイスを寄せている。ひとり暮らしをした時、最初の難関となってしまいやすい「ごはんの炊き方」もかわいらしいイラストを用いながら、丁寧に説明してくれているのだ。

 また、料理をし始めた時に参考となるのが、無駄にならない食材の保存法。お米の買い方やあると便利な食材、ピンチの時に役立つ食材なども細かく掲載されている。購入した食材の保管方法に困ったときは、掲載されているイラストで適した場所を確認することができるのもうれしいポイントだ。

「食」は生きていく上で一番欠かせないものだからこそ、親も世話を焼きすぎて我が子から「うるさい」と言われてしまうこともあるはず。そんな風に反抗しながら大人の階段を登っている我が子にこそ、暮らしの知恵と母の愛を伝えられる本書を手渡してみてはいかがだろうか。

■季節に合わせた暮らし方も伝授

 本書が巷に溢れているひとり暮らし本と違うのは、ひとり暮らしを始めた時だけでなく数カ月後にも参考となる暮らしの知恵が数多く収録されているところだ。

 ひとり暮らしを始めてから半年ほどがたつと、日々の生活に慣れ、気持ちに余裕も出てくるものだが、そんな頃にこそ意識していきたいのが、季節の移ろいに合わせてライフスタイルを変えていくこと。

 初めてのひとり暮らしは春になることが多いため、暮らしに慣れ始める頃には秋や冬になっているはず。辰巳さんによれば、こうした季節の移ろいに合わせ、ルーティーン化させた部屋のしつらえ方や家事の仕方を変えていく必要があるのだという。

 実は、冬から春に変わるときよりも夏から冬に向かうときのほうが季節に適した対応の変化が大きいため、注意が必要なのだ。

 例えば、洗濯も夏と冬では日照時間や風向きが変わるため、干し方にも差をつけるのがポイント。冬は風向きが南から北になり、雨や雪の量によっても乾き方に違いが出てくる。そのため、洗濯物を干す場所や時間を季節によって変えたほうがよい場合が多いのだ。

 このように、部屋での過ごし方は季節によっても変わるのだということを知れたら、“本当に自立できる大人”に近づくこともできるだろう。

 ひとり暮らしのいろはを教え、自立力を育ててくれる本書は初めてひとり暮らしをする方だけでなく、ひとり暮らし経験者の方にとっても心強い味方になる。賢い自立法や人生の生き方を考えさせてくれる辰巳さんの言葉には、ひとりで生き抜いていくことの難しさや楽しさが込められている。

「自立への第一歩を踏み出した我が子の背中にそっとエールを送りたい」と思っている親御さんはぜひ、旅立つ日のプレゼントとして本書を選んでみてほしい。

文=古川諭香

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