もう一度、初恋に再挑戦! TSUTAYA書店員絶賛の恋愛小説

文芸・カルチャー

更新日:2019/2/5

※「ライトに文芸はじめませんか? 2019年 レビューキャンペーン」対象作品

『もう一度、君に恋をするまで。』(早迫佑記/スターツ出版)

 あの時勇気を出していれば、この恋の結末は変わっていたのかもしれない。恋に悩み、「時を戻したい」「もう一度やり直したい」と過去を悔いた苦い経験、あなたにも覚えはないだろうか。思うようにいかない恋をした経験があるのなら、この本は涙なしでは読めない。

『もう一度、君に恋をするまで。』(早迫佑記/スターツ出版)は、失恋確実の女子高生が、初恋を成就させるべくもう一度恋をやり直す恋愛小説。2018年「小説家になろう×スターツ出版文庫大賞」の大賞を受賞した本作は、TSUTAYA書店員が「本当に面白い」「お客さんに手にとってほしい」と自信を持ってレコメンドする“プロデュース文庫”に選ばれた作品でもある。手に取れば、TSUTAYA書店員が絶賛するのも納得。恋を叶えるため、努力を惜しまない少女の姿に勇気づけられ、今すぐにでも恋に全力投球したくなってしまう。

advertisement

 主人公は高校1年生の月島美麗。クリスマスの放課後、彼女は密かに思いを寄せていた同級生・藤倉羽宗が音楽室で別の女の子と抱き合っている姿を目撃してしまう。藤倉のそばにいたい一心で猛勉強をし、同じ進学校に入学までしたのに、思えば、高校に入ってからは接点も減り、彼に近づく努力もしてこなかった。そんな失意に暮れる美麗の前に、突然謎の老婆が現れる。「1年前に時を巻き戻してやろう」。1年前からもう一度この恋をやり直すことになった美麗。もう失敗は許されない。美麗は引っ込み思案な自分を変え、運命も変えようと奮闘する。奇跡は、未来を、運命を、変えるのか。美麗の二度目の初恋は一体どうなるのか。

「過去に戻ってもう一度やり直したい」と物事を悔いる経験はきっと誰にでもあるものだろう。だが、過去に戻れたところで、美麗のように、自分を変えるための努力を惜しまず続けることはできるだろうか。美麗は藤倉に近づくため、勉強に精を出し、おしゃれに気を遣い、クラス委員に立候補する。自分は美麗のように恋に全力を尽くせているだろうか。ろくに努力もしないで、後悔ばかりしているのではないか。やり直しの時間の中で、かつての自分を見つめ直しながら成長していく美麗の姿を見ていると、恋に全身全霊をそそぐ姿に圧倒される。恋の成就には、こんなひたむきな努力が必要なのではないか。自分も彼女のようなまっすぐな心で恋に向き合いたいと、なんだか背筋が伸びるような気持ちになる。

 美麗は努力家であるばかりでなく、心優しい。だからこそ、やり直しの時間を過ごすことに、次第に周囲を騙しているような罪悪感を覚え始める。藤倉に近づけば近づくほど、音楽室で抱き合っていた女の子は悲しむことになるのだということを痛感する美麗。だけれども、この恋を諦めずにいられない。揺れる美麗の姿がなんとも切なく、彼女の恋の行方から目が離せない。

 そして、予想を覆すラストは胸熱くなり、思わず涙を誘う。涙を流しながら感じる、この胸のあたたかさはなんだろう。高揚感はなんだろう。今すぐにでも恋がしたい。美麗のように恋に全力を尽くしたい。恋の楽しさも切なさも全てを味わいつくしたい。この本を読むと、なんだかそんな気分にさせられる。まっすぐ前を向く美麗の姿は、あなたの恋を変えるかもしれない。思わず、恋がしたくなるこの作品をぜひあなたも体験してみてほしい。

文=アサトーミナミ

■「ライトに文芸はじめませんか? 2019年 レビューキャンペーン」特設ページ
https://bookmeter.com/specials/lightbungei/2