あなたの部下の不安、把握してますか? できるリーダーはこの“ツボ”を抑えてる!

ビジネス

公開日:2019/3/14

『できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ』(伊庭正康/PHP研究所)

 近年、出世欲の乏しい若手社員が増えているという話があるが、自分が望む望まざるは別にして、出世の機会が巡ってくる可能性はある。やがて、自らがプレイヤーとして活躍しつつ、部下のマネジメントもしなければならないプレイングマネージャーの立場になると、仕事の忙しさと責任感からうつになる人が急増するという調査がある。

 中でもプレイングマネージャーを悩ませ、苦しめるのが部下のマネジメントだ。優しくしていたらナメられてしまった、厳しく指導していたつもりがパワハラだと捉えられていた…。リーダーは、イマドキの若手社員に対して、どのようなマネジメントが求められるのだろうか。

『できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ』(伊庭正康/PHP研究所)によると、今は「納得感」を大事にする時代。「…をやらせる」「…をしてくれない」が口癖の上司は、人望がないリーダーの特徴だという。

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 本書によると、イマドキのリーダーが目指すマネジメントで最も重要なポイントは、「部下をワクワクさせること」。そのためには、部下が挑戦を楽しみ、仕事を通じて成長を感じている状態をつくる必要がある。そして、このために、部下一人ひとりの仕事への納得感が欠かせない、というわけだ。

 仕事への納得感を作りだすための方法のひとつに、「部下に自己決定をさせる」というものがある。あえて細かく指示をせずに、部下に任せてみる。これが成功していれば、部下は自己決定しただけに、強い目的意識と高いモチベーションをもって、生き生きと仕事に打ち込むはずだ。しかし、案外部下からはこう思われている可能性がある。

「上司に放置されている」
「関心をもってくれない」

 本書によると、部下の意志を尊重したいと考える上司ほど、このケースに陥りやすい。これを回避する方法がある。「任せる」と「放任」の違いをリーダー自らが明確に知っておくことだ。

 本書によると、「任せる」と「放任」の違いは、次の2つ。

任せる上司は、この瞬間、部下がやっている作業を「具体的」に答えられるが、放任する上司は、「曖昧」にしか答えられない。

任せる上司は、部下が感じる“不便・不安・不満”を「事実」で答えられるが、放任する上司は、「憶測」でしか答えられない。

 これは、育児や子どもへの教育にも通じる。子どもに教えるには、親自らが下手でもよいので、その分野をある程度知っておかなければならない。サッカーを教えるなら、親がサッカー下手であっても、サッカーの試合を観るなどして、サッカーに関心をもつ必要がある。仕事におけるマネジメントも同様なのだ。

 仕事は遊びではない。優しいリーダーも、時には厳しい態度で部下を叱咤しなければならない場面もある。このとき、「厳しさ」が「パワハラ」に置き換えられないように、注意が必要だ。本書によると、これを解決する方法は、「厳しさ」を「丁寧さ」に変換すること。「厳しく伝える」のではなく、「丁寧に伝える」と良い。具体的には、その業務を「なぜ」お願いするのか、どうやればいいのか「手順」を伝える、その指示を聞いてどう思ったかを「確認」する、などとにかく丁寧なマネジメントを心がける。

 本書が掲載している調査結果によると、約6割のリーダーが、3年前と比べて業務量が増えていると回答している。これを打開する手立ては、部下に任せていくこと。時代に合ったマネジメントのポイントが本書に集約されている。これからのリーダー必読の書だ。

文=ルートつつみ