会社員のメンタル不調の原因、1位は上司! 「部下の3タイプ別対処法」とは?

ビジネス

2019/3/13

『精神科医が教える3秒で部下に好かれる方法』(伊藤直/文藝春秋)

 現代はメンタル不調の最盛期だ。メンタル面での不調を原因とした離職者は毎年右肩上がりで、休職中の社員を抱える会社も増え続けているという。そして、300社以上の“企業顧問医”を務めている『精神科医が教える3秒で部下に好かれる方法』(文藝春秋)の著者・伊藤直氏によると、会社員のメンタル不調の原因の第1位は、なんと“上司”だという。

 では、部下をメンタル不調にしてしまう“残念な上司”の特徴とは何か。そして、部下を前向きに育てる方法とは? 「“部下を元気にできる上司”のニーズは高まる一方だ」と主張する伊藤氏の実践的なテクニックが詰まった本書から、「部下のタイプ別HOW TO」の一部を紹介したい。

【1】 “愚痴が多い部下”には「親バカ式リフレーミング」!

 事あるごとに部下の口をついて出る愚痴。それは自信のなさの表れだと著者はいう。自信のある人は自分の扱われ方に不満があれば、すぐに転職や独立などの行動を起こすが、愚痴を言うばかりで行動に出ない部下は、自信がなく、会社、そして上司から愛され、認められたいという気持ちを心に隠しているという。

 そうした部下に対処する方法が、「親バカ式リフレーミング」だ。リフレーミングとは精神科の家族療法で用いられる言葉で、“出来事や物事をポジティブに捉え直す癖”をつけるための認知行動療法のこと。

部下「先輩にダメ出しばかりされるんです……」
上司「ダメ出し? 間違いなく先輩があなたに期待している証拠ね」

 こんなふうに、部下が愚痴を言い出したら、子供を溺愛している親が言いそうな言葉で、そのネガティブな愚痴を「リフレーミング」していくのだ。この「親バカ式リフレーミング」は、部下の自己肯定感を上げていくことが目的。上司のこうした対処によって部下の考え方はひっくり返り、自信を持つことで愚痴が減っていくのである。

【2】“高すぎる評価を求める部下”は「褒める」のではなく「認める」

 自己評価が高いことは悪いことではないが、自分の成果よりも高い評価を求めすぎる部下には問題がある。こうした部下は精神状態が不安定で、他人から評価されないと満足できないと伊藤氏は分析する。

 しかし、大したことのない成果を手放しで評価することは難しい。そこで、「褒める」のではなく、「認める」という行為を活用するよう伊藤氏は提案する。偽りの「褒め」では部下を誤解させたり、期待させたりすることになりかねない。だが、部下がやった仕事を事実として「認める」ことは、誤解や期待をさせることなく、部下の気持ちを満足させることができるのだ。

高すぎる評価を求める部下「売り上げを1.5倍にしたんですよ!」
「認め」の悪い例)上司「すごいな! こんな優秀な人材は見たことがない!」
「認め」の良い例)上司「そうなんですね。売り上げを1.5倍にしたんですね」

 さらに、“高すぎる評価を求める部下”は、他人と自分を比べてしまい、自己評価基軸が「同僚に較べてどうか」、つまり「競争」になっていることが多い。その軸を「競争」から「協力」に変換させれば、“高い評価にふさわしい部下”にすることができるという。そのためには、たとえば「あなたはどのくらい、仲間に貢献や協力をしましたか。困っている仲間の仕事をサポーツしましたか」と質問するなどして、上司の評価基準が「協力」にあると理解させることがポイント。こうすることで、高い評価を求める気持ちをポジティブな方向に利用でき、チーム全体の成果を上げることが可能になるという。

 本書には他にも「指示待ちニンゲンな部下にはダメ出しではなく“ヨイ出し”」「自信ソウシツ部下の話は親身に、でもサラッと聞こう」など、タイプ別の部下への対処法が具体的なエピソードを多く交えて解説されている。いずれもちょっとした工夫や心がけ次第で役立つアドバイスだが、300社以上で顧問医を務めてきた著者ならではの説得力がある。

 仕事で人を指導する立場にある人にはきっと参考になるだろう。そして部下との向き合い方のみならず、身近な人間関係に悩んでいる人もぜひご一読を!

文=橋富政彦