アベノミクスの成否が“日本消滅”につながる…!? 有名投資家が予言する日本経済の将来

ビジネス

公開日:2019/3/7

『お金の流れで読む日本と世界の未来 世界的投資家は予見する』(ジム・ロジャーズ:著、大野和基:訳/PHP研究所)

 お金や経済がどう動くかという未来を予測しなければ、投資家は生き残れない。もちろん、それはどの世界も同じで、成功したければ先を読む力が求められる。多くの投資家が損をした2008年9月のリーマンショックのとき、空売り(現物を持たずに売り注文して値が下がったときに買い戻すこと。その差額が儲けになる)し、大儲けした人物がいる。そのひとりが、世界3大投資家と称されるジム・ロジャーズ氏だ。

 彼は、その著書『お金の流れで読む日本と世界の未来 世界的投資家は予見する』(大野和基:訳/PHP研究所)で投資の極意と今後の東アジアの予測を公開した。そして、そこには日本人にとって大変な未来が記されていたのだ。

■「歴史は韻を踏む」、だから歴史の勉強は重要

 ジム・ロジャーズ氏は、世の中は、「韻を踏むように、少しずつ形を変えながら反復をし続ける」という。だから、歴史を学べば未来の予測も可能になるのだ。これまでに例外はないという。「日本だけは違うはず」「きっと今度は違う」というセリフが、最も危険だという。

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 これは、投資に限った話ではない。これまでの歴史で、何が起こり、政治や経済がどのように変化してきたかを学ぶことはすべてのビジネスに通じることだ。

■人と同じことをして成功した人はいない

 歴史は繰り返すが、まったく同じことを繰り返すのではないという。だから、韻を踏みながらも変化を続ける時代の流れに合わせ、自分自身も変化できるようにしておくことが大切だ。「人と異なる考え方をすれば、他の人には見えないものが見えてくる」、それが成功の第一歩だという。

 リスクを回避し安全策をとれば、大損をしないかわりにリターンはわずかだ。彼はそのような投資家ではない。徹底的に調べ上げ、大胆に予測し、将来を見据えて投資する。そして、その予測を的中させてきたからこそ今日がある。

■史上最悪の世界恐慌がやってくる!?

 今、アメリカを始め、どこの国も紙幣を刷り続けているそうだ。お札を刷って市場に流せば、一時的に市場は活気づくだろう。しかし、問題はこの後だ。長期的にみれば紙幣の乱発には効果がないという。それどころか、印刷をやめたとき、経済に最悪な状態を生じさせることは歴史が証明しているそうだ。

 おそらく、経済破綻は、アメリカからやって来るだろうと、ジム・ロジャーズ氏は予測する。「ここ数年で起きた出来事は、もうすぐ甚大な経済問題が起きることを意味している」という。

 日本も例外ではない。アベノミクスでは「異次元の金融緩和」といわれる大胆な金融政策が行われ、日銀が民間銀行から大量に国債を購入するという形でアメリカ以上に市場にお金を供給しているのだ。彼は、「アベノミクスが成功することはない」と予言している。

■それでもまだ、打つべき対処策は残されている

 今後動向を注目すべきは、朝鮮半島だ。韓国と北朝鮮はひとつになるだろうとロジャーズ氏は述べる。そして変化の風はアジアから吹いてくるという。しかし、日本はその流れから外れ、50年後には崩壊の可能性すらあるというのだ。

 それについてロジャーズ氏は、日本の打つべき手についても述べている。

(1)歳出の大幅カット
(2)関税を引き下げ、自由貿易を促進させる
(3)移民を受け入れる(ただし慎重に)

 この3つのポイントだ。海外と関わることが絶対必要条件だという。生産年齢人口の減少を海外からの移民で補うという考えだ。

 果たして、日本人はこの処方箋を活かすことができるだろうか。本書は、投資を全面的にすすめる本でも、その必勝法を記したものでもない。凄腕投資家による「日本の将来への警告」と捉えるのが正解ではないだろうか。日本の未来は、私たちの選択に委ねられている。

文=今眞人