「永遠の処女」と称されるAV女優・つぼみがAV女優の道を選んだきっかけを語る!

エンタメ

2019/4/6

『わたしのこと。』(つぼみ/二見書房)

 人は表面的な部分では理解し合えるかもしれないが、もっと根っこの、本質的な部分で交わることはできないのかもしれない。「理解できている」「理解し合える」と、考えるのは傲慢であり、勘違いなのだろう。

 これは、『わたしのこと。』(つぼみ/二見書房)を読み、感じたことだ。本書はセクシー女優のつぼみが自分の過去を振り返った自伝的エッセイ。彼女の幼少期の思い出やアダルトビデオ(AV)出演を決めた経緯、初恋、仕事について赤裸々に語っている。

「なぜAVの世界へ足を踏み込んだのだろう」「AV業界の裏側について知れたらおもしろそう」…という、下心もあって本書を手に取った。そして、読む前には「お金のためだったり、あるいは自己顕示欲を満たしたり、性行為が好きだったり、仕事に憧れを抱いていたり、そんな理由で始めたのでは?」なんていう予想を立てていた。

 結論はいずれも違っていたが、彼女の意志や行動は美しいと思った。それはひとりの人間として、思い、悩み、不器用ながらも居場所を求める“人間らしさ”があったからだろう。

 気になる「彼女がAV出演を決めた理由」であるが、「とくに理由はない」という。しかも、家族に暴力を受けたり、家族と仲がこじれていたりという悲しい過去や体験があるわけでもない。ページをめくるごとに、「なぜ、この人がAV女優に?」という疑問すら湧いてしまう。

 正直、肩透かしを食らった気分だった。自分とは程遠いAVの世界。そこに飛び込む理由に何かしらの“ストーリー”を求めていたし、勝手な話であるが、どこか不幸な身の上話を期待していたからだろう。

 大きな理由なく始めたというAV女優の道。だが、彼女に“自分”という軸がないかと言えば、まったくそうでない。自分がこうだと決めたらその意志を徹底して尊重していく。歩いた道、決断した道が、偶然その道だったのだ。

「学校やバイトでは、パズルのピースがピタリとハマるような感覚がなかった」
「でも、AVにはそれがありました」

 だから、彼女はインタビューでAV出演の理由を尋ねられてもウソはつかない。ひとつウソをついてしまえば、自分の決断を否定することになると考え、「理由はない」と正直に答えるそうだ。自分という軸を確かに抱き、12年第一線で続けてきたAVの仕事。引退したら、AV以外の仕事もスパッと辞めたいと語る。さらに、仕事だけでなく、仕事を通じて得たものも何も残したくないそうだ。

 ある対象にこだわりを持つ一方で、あるものには無頓着になるというのはどんな人にもあることだ。そして、その濃淡は人によって違う。つぼみの濃淡は、というと、どこかつかみどころがないように感じる。それを知りたくて、どんどん本を読み進めるのだが一向につかめない。だが読み終える頃には、「わからないこと」が彼女の魅力として感じられるから不思議だ。

 自分にとって未知なるものは、つい遠ざけてしまいがちだ。理解できない、理解されない…そういったこだわり方は、もしかしたら表面的なことなのかもしれない。興味本位で手に取った本書が、“人”との付き合い方や関係性をもう一度深く見直してみようと考えるきっかけとなった。

文=冴島友貴