電子レンジで揚げ物?栄養バランスのとれたマグカップごはん

食・料理

2019/4/24

『シニアひとり分のマグカップごはん』(村上祥子/宝島社)

 料理と聞くと、どうしても手間のかかるものという意識が先行してしまうものだ。凝ったものを作ろうとするのなら、さらに下ごしらえなどもしなければいけないため、そう簡単に「やろう」とは思えないだろう。また、年を重ねるほど動くことも億劫になる。しかし、そんな人にも簡単に料理ができる方法がある。フライパンも使わず、鍋もいらない。調理器具として使うのは、「電子レンジだけ」という画期的な料理法を本書はまとめている。

『シニアひとり分のマグカップごはん』(村上祥子/宝島社)では、「マグカップ」を使って電子レンジの調理だけで料理を作る方法を紹介している。特に年配の人だとどうしても動きたくないと思ってしまう場合が多いのも事実である。また、作るのはよいが洗い物が面倒だという思いにも、本書は細かく対応している。使うのは電子レンジだけ、器はマグカップという、大きなメリットを本書では提示しているのだ。実際に火を使わないため、シニアの一人暮らしの際に心配される火事が起こる心配がなくなるだろう。そして、量を作らなくても良いから、捨てることも考えずに済む。電子レンジだけを使うため、時短にもなるので自分の時間を作ることができる。介護などで手が回らないという人にもおすすめできる調理法だ。

 しかし、本当にこの料理が作れるのかと、疑う気持ちを持つ人もいるだろう。本書では、しっかりと加熱の時間も記載されていて調理の際のポイントもわかりやすく書いてあり、「やってみよう」という思いが生まれやすくなっている。また、マグカップを使うことで少ない水分で調理するため、旨みが凝縮して栄養の取りこぼしが少ないのも利点だ。この調理法は和食だけでなく、中華料理や洋食も作れるので、その日の気分で変化を加えることもできてしまう。

 さらに嬉しいのが、普通に作る場合では手間がかかる煮物や茶わん蒸しなどの簡単な作り方も載っている。本書通りに作れば失敗することはまずないだろうと感じるほど、丁寧にポイントが書かれているので、料理を作るのが億劫だと感じている人の助けになるだろう。そして、レンジを使う際の注意点もしっかり書いてあるため、温める前にきちんと処理を行っておけば、簡単に美味しいごはんが作れるのだ。また、日々の献立を毎日考えるのはとても大変な作業だし、栄養バランスも考えるからこそ、どうしても悩んでしまうだろう。本書では電子レンジを使いつつ、ごはんを炊いておくだけで「一汁一菜」の献立ができるよう、献立を組み立ててくれているのだ。もちろん、ここからアレンジもできるので、自分好みに使うこともできる。

 また、おかずだけでなく、「ごはんもの」のレシピも載っている。もち米を使うおこわやチキンライス、カレーやハヤシライスといった煮込む調理でさえも電子レンジで作れると知ったときは正直驚いた。本当に美味しいのかと不安な人こそ、まずは思い切って作ってみてほしい。出来上がりの味にびっくりすること請け合いだ。和・洋・中の料理をレンジで作れるだけでもお得感はありながら、「香ばしさ」まで感じられる点は秀逸だと言える。焼いたり揚げたりしないがしっかりと具材とタレを絡めてからレンジで加熱するだけで、香りや食感は普通の調理をした場合とあまり変わらない。だからこそ、料理が苦手な人や、シニア層に本書をおすすめしたい。栄養のバランスと日々の献立に対する悩み、その両方をまとめて解決してくれる一冊である。

文=方山敏彦