沖縄で大人気の漫画『琉球のユウナ』! 神力をもつ少女と呪いを背負った国王が切り開く、琉球の未来とは?

マンガ

更新日:2019/4/23

『琉球のユウナ』(響ワタル/白泉社)

 マンガ『琉球のユウナ』(響ワタル/白泉社)が面白い。15世紀末の琉球王国を舞台に繰り広げられるファンタジーで、巻末に連なる参考文献からもわかるとおり、琉球の歴史をがっつり踏まえて描かれているのがいい。

 主人公の少女・ユウナが、シーサーを従え、化け物(マジムン)と心を通わせる強大な神力をもつという設定も、琉球文化を下敷きに丁寧に描かれるから、もしかしたら実際にかの国の王はユウナのような巫女を従えていたのかもしれない、と想像が膨らむのも楽しい。沖縄で人気が高いというのも納得だ。

 朱の髪のせいで神力をもつことが知れ、幼い頃から忌み嫌われるか、利用しようとする輩に狙われるかのどちらかだったユウナ。いつもそばにいるシーとサーが唯一の家族だった彼女の前に現れたのが、第二尚氏王朝3代目・尚真王。買収された巫女の託宣で王に選ばれ、2代目だった実の叔父を死に追いやってしまった彼は、その身に呪いを受けていた。出自はともあれ、光り輝く彼の優しさと王としての風格に惹かれたユウナは、神力をもって彼に味方することに決める。

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 物語は基本的に、真加戸(尚真王の童名)とユウナの、立場ゆえに近づききれないじれったい関係を中心に描かれるのだが(人との交流に慣れていないユウナの超絶鈍感ぶりもかわいい)、その下地を1巻で丁寧に紡ぎあげたあと、2巻ではにわかに大河としての色を濃くし始める。

 第二尚氏とは、琉球最初の統一王朝・第一尚氏の重臣だった金丸が、主君を倒して生まれた王朝だ。この金丸が、父たる尚円王。つまり真加戸は、前王朝と叔父、2つの恨みを背負って立つ王だ。それでも彼が王として胸を張っていられるのは、国を思う責任感と、王としての自分を信じてくれて、かつ王ではなく真加戸個人の友としてそばにいてくれるユウナがいるから。だが、2巻で登場したあやしげな男がユウナを攫い、真加戸に刃を向ける。

 どうやら第一尚氏の関係者らしいこの男、問題は彼の魂にユウナの神力が反応してしまうことだ。真加戸こそが王と疑わず、しだいに友達以上の感情を育てはじめたユウナは、望むと望まざるとにかかわらず彼にも惹かれはじめてしまう。

 私たちは誰かのために生きているわけじゃない、とユウナは言う。自分の人生は、自分だけのものだ。けれどユウナが、真加戸のためにできることをしたいと思うように、生きる糧はやっぱり、誰かのための想いに宿る。孤独から救ってくれて、自分の人生を生きる始まりとなってくれた真加戸か。それとも自分のためにさえ生きることを見失った男か。2人のあいだで揺れるユウナはどのような決断を下していくのか――最新3巻でますます濃く絡みあった3人の運命から、今後も目が離せない。

文=立花もも