頭のいい子を育てる図鑑。「なかま」を見分ける遊びで子どもの脳が育つ!

出産・子育て

2019/6/7

『頭のいい子を育てるプチ おんなじだね!こどもなかまずかん』(かしわらあきお・主婦の友社)

■語りかけによって世界を知っていく子どもたち

 生まれたばかりの赤ちゃんは、自分をとりまく世界について、まだ何も知りません。でも、運動機能や五感の発達によって、周囲の大人たちが語りかけることばを聞き、ものを見たり、触れたり、味わったりすることで、自分の生きている環境と、身の周りにあるものを少しずつ認識していきます。

 多くの家庭では、子どもに「ほら、リンゴ。赤くて丸いね」「ネコがいるよ。かわいいね」など、話しかけているでしょう。赤ちゃんは自分で話すようになる前から、ことばを理解しています。ことばはコミュニケーションのツールであると同時に、思考や判断の土台になります。幼いときから、より多くのものやことばに接して、世界を知っていくことは、子どもの脳と心の成長には欠かせません。

■子どもがモノを認知するときの脳の働きとは?

 子どもがモノを認知するときの脳の仕組みをご存知でしょうか。京都大学名誉教授で脳科学者の久保田競先生に伺いました。

「ネコを見たとき、目の網膜に写った像は、まず後頭葉の第一次視覚野に運ばれます。その後、ネコの視覚的特徴は、海馬で記憶することになります。「ネコ」という音も同様に、聴覚野で受容され、海馬で記憶されます。情報は音(ことば)、色、形、味、かたさや柔らかさなど、カテゴリーごとに整理され、海馬の中の引き出しに保管(記憶)されます。そして、次にまたネコを見たときに、それらのしまわれた情報が、神経回路を通って前頭前野に集まり、1つのものとして認知されるのです」

 たくさんの情報が脳の中で統合されることで初めて、子どもはネコを「ネコ」として理解するのですね。

■「なかま」がわかるのは、子どもの脳が高度に働いている証拠

 でも、実物のネコと、絵本に出てくるイラストや写真のネコは、同じものではありません。それにも関わらず、子どもは成長するにつれて、見た目の異なるネコを「なかま」とわかるようになります。

 子どもがあるものを見たり聞いたりするとき、記憶してしまっておいたさまざまな情報は前頭前野に伝わり、前頭前野はそれらの情報を比較検討して、同じ「なかま」か、違うものかを判断します。

 モノを「なかま」として理解するには、これまでの経験と知識を総動員して、識別する必要があります。そのためには、同じ名前をもつものが、いろいろな姿や形を持つことを体験していなくてはなりません。

「なかま」を見分ける作業は、記憶をコントロールする海馬と、違いを比較判断する前頭前野を鍛え、集中力、思考力、創造力、判断力などを養います。久保田競先生と“脳科学おばあちゃん”として知られるカヨ子夫人が提唱した乳幼児の育脳法『クボタメソッド』でも、「なかまを見分けるあそび」は、重要なカリキュラムのひとつになっています。

■違うシーンから「なかま」であることを体験できる画期的な図鑑

 そんな「なかま」を知ることに注目してつくられた絵本が『頭のいい子を育てるプチ おんなじだね!こどもなかまずかん』(主婦の友社)です。単に1つのモノと名前を並べているこれまでの多くの図鑑とは違い、たとえば、ネコのページは(1)顔のアップのイラスト (2)全身写真 (3)寝転んでいる子ネコ (4)まねきネコのイラスト という、それぞれ異なる4つの画像で構成されています。「なかま」を実感する工夫がなされているのです。ぜひ、「これも、あれも、おんなじだね〜!」とお子さんに語りかけながらページをめくってみてください。

“あかちゃん語”を育てる「頭のいい子を育てるプチ」シリーズ(累計発行部数25万部)の既刊とは趣を変え、動物や果物、野菜、虫、植物、乗り物、身につけるものなど、子どもたちになじみのある10ジャンルを掲載した盛りだくさんな1冊。実物を見たり、触れたりするときの驚きや発見も、図鑑を読んだあとには、より大きなものになるかもしれません。楽しみながら子どもの脳を育て、世界を広げるのにぴったりな図鑑と言えそうです。

文=山岡京子