「ダメ!」の代わりに使うべき魔法の言葉とは? 子どもも親もハッピーになる子育てがわかる世界的ベストセラー

出産・子育て

2019/6/24

『子どもの気持ちがわかる本』(イザベル・フィリオザ:著、アヌーク・デュボワ:イラスト、土居佳代子:訳/かんき出版)

 子どもの“考えていること”や“気持ち”って本当にわかりません。きっとこうだろうと想像して向き合っても、どうもうまくいかず、子どもは泣くし親もグッタリ。もどかしいのは、子どものことをこんなに想っているのに、伝わっていないような気がすることです。

 そこで参考にしたいのが、『子どもの気持ちがわかる本』(イザベル・フィリオザ:著、アヌーク・デュボワ:イラスト、土居佳代子:訳/かんき出版)という育児書です。著者のイザベル・フィリオザ氏は、臨床心理学にもとづいて、感情を専門としたセラピーを行うセラピスト。本書は、20冊を超える著書の中でも、フランスで25万部を突破し、16カ国以上で翻訳された世界的ベストセラーです。

 読んでみてわかったのは、「ダダをこねる」「ルールを守らない」「ウソをつく」といった理解しづらい子どもの行為には、ちゃんと動機があったのです。問題行動でも、悪意のあるいたずらでもありません。

 行動の裏に隠された子どもの言い分を明らかにして、科学的に分析し、ママやパパが対応するべき方法を、著者は教えてくれます。とても簡単なことばかりです。

■たった10分間でも子どもは満足できる

 この本にあげられた子どもの“困った行動”は、私自身の子どもにも当てはまるものばかり。フランスでも日本でも世界でも育児の悩みは同じなのですね。

 耳が痛くなるようなエピソードがたくさんあります。たとえば、家事をしている最中に、子どもが「わたしのこと好き?」と質問してきたとき、目も合わせずに対応していませんか? 親にとってはなんてことない質問でも、子どもにとっては大事なこと。電話が鳴ったら家事をやめるのに、自分の質問には目も合わせてくれない…といったことでは、子どもは「電話のほうが大事なんだ」と考えてしまうかもしれません。

 子どもは、接触したい気持ちが満たされないと、脳回路が禁断症状に陥って、「怒りを爆発させる」「なんでもないのに泣いてしまう」こともあるとか。つまりこれは、故意ではなく、自分の理解を超えてしまった状況に対する脳の反応なのです。

 子どもの質問にはちゃんと返事をして、どうしてそう考えたのかを聞いてあげましょう。すぐに手を離せないときは、顔を見てあげるだけでも、子どもは待つことができるそうです。

 働いている親なら、こんなことはないでしょうか。仕事から帰ったら子どもが「遊ぼう」と言ってきたけれど、やるべきことがまだ終わらない。「ちょっと待って」と言ったまま用事をこなしていたら、結局遊ぶことができず…。これでは、子どもは穏やかな夜を過ごせないかも。用事が山積みでも、10分くらいは時間がとれますよね。完全に子どもに向き合う時間をつくれば、子どもは愛情と優しさを感じて、穏やかに眠れるそうです。

 こういったときに子どもが求めるのは、「大きくなるのが楽しみ」「一緒にいられて幸せだよ」「私の子どもでうれしい」などの愛情を感じる言葉。親子で時間を共有し、体を触れあわせるとき、子どもはもちろん、大人も心地よい気持ちになります。幸せのホルモンであるオキシトシンが分泌されると、人は安心感と幸福感を得られるそう。

■「ダメ」は通じにくいから、危ないときは「ストップ」で

 子どもがある程度大きくなると、危ないことをたくさんやるようになります。なぜでしょうか? できるだけ叱りたくないけど、危ないことはわかってほしいから「ダメ」と言ってしまいます。でも子どもは、親が怖い顔で怒ったり叱ったりするのが大嫌い。そこで、代わりに使いたい魔法の言葉、それは「ストップ」です。

「ストップ」は「ダメ」より曖昧さがなく効果的で、とがめることなく子どもの動きを止められます。子どもが新しいものに触れるとき、「さわってもいい?」と聞いてきたり、親の顔つきをうかがったりすることがありますよね。そのときが「ストップ」のかけどきです。そのあとに、やさしい言葉でわけを説明しましょう。

 親はやめてほしいのに、「ダメ」と言うとますますやってしまうことが、子どもにはよくあると思います。そこで参考にしたいのは、子どもの脳は「否定が苦手」ということです。否定には「イメージを思い浮かべること」と「イメージを否定すること」の2つの知能の動きがありますが、幼い子どもはそれをうまく処理できません。「何かをしてはいけない」という言葉が、イメージのヒントになってしまう。だから、たとえば外でパパと一緒に洗車中に「道路へ出ちゃダメ」と伝えたのを「道路へ出なさい」と言われたように受け止めて、言われた通りにしてしまうのです。

 子どもは親を喜ばせたい一心でやっているのに、そんな気持ちも知らずに叱りつけてしまったら。「どうして? パパ(ママ)が言ったから、急いでやってみたのに。どうして怒っているの? 悪い子なの?」と不安でいっぱいになっているかもしれません。こんなときは、「○○しないで」という否定ではなく、「○○しなさい」と“していいこと”を伝えるようにしましょう。

 他にも、「椅子を揺すって遊ぶ」といった行為は、バランス感覚を刺激するために体が要求している場合もあるなど、発達の過程からくる行動もあると知って驚きました。

 まだ幼い子どもに、「親を騙そう」「試そう」といったことができる知能はないそうです。その行動に悪意がないのなら、叱ることも罰することも必要ないでしょう。叱ることや罰することが、子どもに良くない影響を与えることは実証済み。

 その代わりに、困ったことがあったら、言葉で伝えたり、抱きしめたりしながら子どもと向き合っていくコツが本書に紹介されています。他に、1歳から5歳までの年齢別のヒントなどがあり、ここに紹介したのはほんの一部です。

 育児ではわからないことがあると不安ですが、子どもの気持ちを知れる方法があると知って、気持ちが楽になりました。それに、子どもらしい行動の一つ一つは、発達や成長の証なのです。いつでも親に愛されたいと願っている、そんな健気な子どもの気持ちを思うと、今すぐ「大好きだよ」と伝えたくなりました。

文=吉田有希