新社会人、フリーランス… 働く大人に捧ぐ! ビジネスの基本が身につく1冊

ビジネス

2019/6/18

『最新ビジネスマナーと今さら聞けない仕事の超基本』(石川和男:監修、宮本ゆみ子:著/朝日新聞出版)

「社会人」と聞くと、「それなりにビジネスマナーが身についた人」「ある程度の社会常識をわきまえた人」を連想する人もいるかもしれない。

 現に、企業の「中途採用」では、「即戦力になり、ある程度のビジネスマナーは当然身についている人」を採用対象とするのが暗黙の了解だろう。

 ところが、この「仕事をする上での常識」というやつは、実は当たり前に身につけられるものではまったくない。会社の研修、あるいは上司や先輩の指導・薫陶といった「教育の機会」があって初めて身につくものなのである。

 しかし、本書『最新ビジネスマナーと今さら聞けない仕事の超基本』(石川和男:監修、宮本ゆみ子:著/朝日新聞出版)のはしがきにある通り、現代の労働環境は多様化している。誰もがみんな、しっかりと社員教育を行ってくれる会社に入社できるわけではなく、ろくな研修を受けないまま、いきなり現場に放り込まれる会社員もいる。はたまた、社会経験のないまま独立したフリーランス、派遣やアルバイトといった非正規雇用の人々もいる。みんながみんな、教育の機会を与えられるとは限らないのだ。

「ビジネスマナーは、ビジネスの現場における共通言語である」と、監修者は述べている。すなわち、知っているか・知らないかで、まっとうなビジネスパーソンとして周囲から扱われるかどうかが決まるということだ。学ぶ機会があった者とそうでない者とでは、ビジネスパーソンとしてのスキルに格段に差がついてしまう。それは最終的には、その人の将来のキャリアに影響してくることにもなるだろう。

 確かに、実際のビジネスの現場は臨機応変な対応が求められることも多く、必ずしも教科書通りが正しいとは限らない。しかし、「知識があれば防げた」というトラブルが多いのもまた事実である。

 本書では、そんな働く大人に必須の教養を網羅的に扱っている。基本的な敬語の使い方や名刺の受け渡し方だけでなく、働く上でのマインド、社会制度や手続き関連の知識まで、他のビジネスマナー本ではカバーしていないような事項も扱っている。SNSやチャットツールの活用についてといった最新のビジネスマナー事情に配慮して書かれている点もありがたい。

「知は力なり」とよく言うが、それはビジネスの世界でもあてはまる。たとえば、いわゆるビジネスマナーはちょっとした知識の積み重ねからできているため、知識があるかどうかで適切な対応ができるかが決まってしまうところがある。また、働く人を守る制度などに関する知識が乏しかったために、不利益を被ってしまうという事態も十分に考えられるところだ。

 社会人として現在置かれている環境には、人それぞれ違いがある。たまたま教育体制などが充実した環境で働いている人もいれば、そうではない人もいるはずだ。しかし、最初のスタート地点が恵まれているか、そうでないかで経験値や人材としての価値に差がついてしまうのはあまりにも悲しいし、社会にとっても損失が大きいのではないか。

 本書で説かれているトピックスは、ある程度訓練された社会人であれば、「あまりにも当たり前の常識」である。しかし、これまで教育される機会がなかった人にとっては、その「当たり前」に到達することがそもそも難しい。だからこそ、本書が登場した意義がある。

 本書は社会人としてのイロハを超基本レベルから解きほぐし、わかりやすい言葉で届けてくれる本である。

 右も左もわからない新社会人やフリーランス、非正規雇用の人々を始め、働く大人みんなにおすすめしたい。また、これからインターンや就活で社会人と接する学生にとっても、本書に書かれている内容はきっとためになるはずだ。

 周囲があてにならないならば自力で頑張るしかない。本書を片手に、この世知辛い社会人ライフをサバイブしようではないか。

文=紀村真利