「彼女いない歴=年齢」の冴えない社畜男子が、ある日、ツンデレJKの“ペット”になりました

マンガ

更新日:2019/7/13

『JK、社畜を飼う』(田口ケンジ/小学館)

 古代エジプト時代から飼育されていたネコ、古くから家族の一員として迎えられていたイヌなど、人は愛玩を目的としてしばしばペットを飼う。ペットたちの愛くるしい姿は人々の心を癒してくれるものだ。しかし、もし自分が誰かのペットになってしまったら……? ペットとしての役割を全うできるのだろうか。

『JK、社畜を飼う』(田口ケンジ/小学館)の主人公は、犬吠埼謙(いぬぼうさき・けん)。「彼女いない歴=年齢(24歳)」の冴えない社畜サラリーマンだ。20連勤も当たり前なブラック企業に勤める彼は、エナジードリンクを流し込み、なんとかこなす激務の日々に疲れ切っていた。むしゃくしゃする気持ちをビールで発散させていたある夜、彼は道端で酔いつぶれてしまう。

 目が覚めた場所は、ピンクの照明がきらめくラブホテル。制服姿の女子高生・久留主ニア(くるす・にあ)とふたりきりだった。突然の状況に慌てる犬吠埼は、ニアから渡されたスマートフォンの画面を見て凍り付く。なんと、そこには未成年淫行を思わせる捏造画像が写っていた。ニアは、犬吠埼のネクタイをきゅっと引っ張り、自分の方に手繰り寄せ、たったひとつの望みを伝える。

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“あたしに飼育されるってこと。おはようからおやすみまであたしの管理下。”
“拒否権なんてないんだよ?“犬くん”には。(中略)ワンって鳴きなよ!!“

 こうして、会社に飼われている犬吠埼は、JKにも飼われることとなった。社畜とペットの二足のわらじ生活がスタートしたのだ。ペット生活は社畜以上に大変なもの。ニアに呼び出されると、仕事を抜け出して駆け付けなくてはならない。ときには子どもが木に引っ掛けてしまった風船を取るためにニアを肩車したり、“餌付け”のために唇ギリギリのポッキーゲームをしたり……ハラハラする日々が続く。

 本作の魅力は、なんとも絶妙なニアのツンデレ具合。「間接キス」を意図して渡されたペットボトルを無表情で飲み干しながら顔を赤らめたり、犬吠埼の一生懸命な姿にニカっと無邪気に笑ったりと、ツンとデレの割合がたまらない。

 第十話「8年前のあたしは」、第十一話「犬おにーちゃん」では、ニアが犬吠埼を飼うことに決めた理由が描かれる。ランドセルを背負った8歳のニアと、学ラン姿の犬吠埼。ふたりの出会いのキッカケと、幼い恋心にときめくこと間違いなし。ツンデレJKと社畜ペットの未来を妄想しながら、今後の展開を見守りたい。

文=山本杏奈