西原理恵子さん親子が1000万元手に「一風堂」の株を買う!? 超初心者向けの株テク

暮らし

2019/7/10

『生涯投資家vs生涯漫画家 世界で一番カンタンな投資とお金の話』(村上世彰、西原理恵子/文藝春秋)

 株もFXもうかつに手を出せば損をする、と思っている。仮想通貨も、なんかこわい。「私の耳に『ビットコイン』というのが聞こえてきた時に(買うの)はもう遅い」と漫画家の西原理恵子さんは言っているが、そのとおりだと思うから何も手を出せない。とはいえ、年金は不安だし、銀行預金で増える時代でもない。もしものときのためにやはり運用はしておきたい……。

 そんな悩める初心者に、村上ファンド・村上世彰さんが一から経済と投資のしくみを教えてくれるのが『生涯投資家vs生涯漫画家 世界で一番カンタンな投資とお金の話』(村上世彰、西原理恵子/文藝春秋)だ。「ビットコインってそもそも何?」「株ってギャンブルと何が違うの?」という超初級の質問を西原さんが投げかけ、村上さんがそれに答えてくれる対談形式なので、ほんとうに、非常に、わかりやすい「今さら聞けない! けど知りたい! 始めたい!」という人にはうってつけの、まさしく“世界で一番カンタン”な一冊なのだ。

〈1万円が100万円になる可能性が2%〉といわれたら、その投資に乗るだろうか? 西原さんは「残りの98%はゼロになるんですよね?」と及び腰になる。なぜなら自分の“引きの弱さ”に自信があるから。

 だけど村上さんは、やる。やるべきだと言う。その根拠となる「期待値」の説明から始まり、「資産の2割は投資にまわしていい」とか「損切りのタイミング」とか、投資で必要な知識と心得が満載なのが第一章。第二章では、西原さんが村上さんの指示どおりに、実際に株を買ってみた実体験とともに語られる。しかも西原さん以上に初心者の、高校生の息子さんも加わって。

 息子さんに渡したお金は100万円。これは、村上さんが小学3年生のとき、大学に入るまでの小遣いを100万円として一括前払いしてもらい、初めて株を買った経験に基づいている(ちなみに西原さんの資金は1000万円)。

 息子さんはまず「好きだから」という理由でスクウェア・エニックスと一風堂の株を買う。この「好きだから」が大事なのかもしれないと本書を読んでいて思った。好きだから、会社の商品や強み・弱みをなんとなくだが知っている。もちろんだからといって成功するわけではないが、売り買いするときに判断の指標をひとつでも持っている、というのは知識の浅い初心者にとっては大きい。そして株主になったことで、とりまく経済状況を気にかけるようになる。まるで興味のない業界よりも、好きな分野のニュースのほうが理解しやすい。日常に大きな影響を及ぼすものとして、国内外の政治や経済が少しずつ「自分事」になっていく。西原さんと息子さんの共通話題に株が加わったことで、興味と知識はますます広がるし、自分たちが経済に参加している自覚も芽生えていく。

 あたりまえのことだが、お金は生活だ。お金があれば、選択肢が増える。それは自分だけでなく、誰かの人生をも左右する。〈自分の人生を最後まで楽しく生きるためには、自分でちゃんと稼ごうよ、それには投資もひとつの方法だよ〉という村上さんの言葉を読んで「わからないからできない」ではなく、まずははじめてみようと思った。村上さんが言うところの「株に向いていない人」の素養は強いだろうけど、何かをちゃんと「知る」ことは、漠然とした不安を少しでも減らしてくれるはずだと思うから。

文=立花もも