「よくあそぶ子はよく育つ」は本当! 習い事や勉強より大事なことって? 『非認知能力を育てるあそびのレシピ 0歳~5歳児のあと伸びする力を高める』

出産・子育て

2019/7/20

『非認知能力を育てるあそびのレシピ 0歳~5歳児のあと伸びする力を高める』(大豆生田啓友、大豆生田千夏/講談社)

 AI(人工知能)の登場でこの先の社会でどんな能力が求められるのかわからない時代、身につけたほうがいいといわれているのが「非認知能力」です。『非認知能力を育てるあそびのレシピ 0歳~5歳児のあと伸びする力を高める』(大豆生田啓友、大豆生田千夏/講談社)によると、「今すぐにはわからないけれど、あと伸びする力」とされ、今、世界中で注目を集めています。

 勉強で知識を得たり読み書きしたりするのが「認知的能力」だとしたら、人生を生き抜くために社会的に必要なのが「“非”認知能力」。つらいことがあっても気持ちをコントロールすることで乗り越えたり、人生に目標を持って情熱を注いだりする力がつくといいます。実際に、非認知能力によって大人になってからの「学力」や「収入」が高くなった、という報告もあります。

 つまり非認知能力が育てば、世の中が予想外に変わっていっても、自分で考えて臨機応変に対応していける下地が身につくのです。“地頭の良さ”とも言えるでしょう。

■非認知能力を育てるために大切な6つのこと

 その「非認知能力」を伸ばすにはどうしたらいいでしょうか? 本書には、大きく6つのポイントが紹介されています。

(1)親子でスキンシップをとり、十分に甘えさせる
(2)その子らしさを大切にし、自分で決めさせる
(3)がんばる姿をほめ、小さな成功体験を重ねさせる
(4)「あそび」に夢中にさせる
(5)「外あそび」でからだを動かし、自然にふれさせる
(6)「絵本」でコミュニケーションや言葉に興味を持たせる

 これらのことは、いろいろな「あそびのレシピ」を通じて習得させることができます。特別な道具は必要なく、日用品や自然のものがあれば十分です。

 本の中には、子育て家庭なら誰もが見たことがあるような光景が並んでいます。たとえば、ティッシュペーパーを箱から取り出すあそび。大人は「わー、いたずらはやめて!」とイライラしてしまうけれど、子どもは自由に動けるようになった体を使って「世の中におもしろいものがある!」と周りに伝えたくて仕方がないのです! ここはあそびを中断させるのではなく、見守りましょう。

 やがて、出すだけではなく入れられるようになり、ぎっちり握って離せなかったティッシュをパッと離せるようになります。じつは、「出す」より「入れる」ほうが難しく、「つかむ」よりも「離す」ほうが難しい。それを自ら習得していくのです。

 ティッシュがもったいない? ならば、“出し入れできる”専用のあそび道具を作ってしまいましょう! 洗濯バサミの入った容器を特別に使わせて出し入れさせる、などのアイデアが役立ちそうです。

 本書には、こういったなにげないあそびがなぜ子どもを成長させるのか、その「理由」もわかりやすく説明されています。あそんでいる子どもを見て「何かやってるな~」と感じていても、そこにどういう意味があるのかは、意外と気づかないのでは? 理由がわかっていれば、「見守ってあげよう」と思えるし、もっと力を伸ばすための工夫もできます。

■「子ども主導」のお散歩でさまざまな発見を!

 外あそびは、まさに「発見」の宝庫。発見を重ねると、子どもは「人生には生きる価値がある」ことを知り、生きやすくなるのだとか。

 建物の柵をカンカン鳴らす…なんて人目が気になるけれど、これもまた子どもの五感を刺激しているのです。大人主導ではなく、時には子どもまかせで、行き先を決めないお散歩も楽しそう。

■さまざまな工夫で形を変える水が大好き

 夏といえば、水あそび! 洗面所でいつまでも水を流し続けていると、親としては「またか」と呆れてしまいますが…。

 水は、さわるたびに形が変わり、砂にかけるとしみ込みますよね。自分の工夫によってさまざまに変化する水が、子どもには楽しくて仕方ないようです。頭もからだもフル回転させて、ここでも成長しているようですよ。

■空を眺めるだけで科学的な好奇心を刺激

 親子で空を眺めながら、「あの雲はなんの形?」と会話をするだけでも、科学的な好奇心を刺激します。さらに、発見を持ち帰って図鑑や科学絵本で調べれば、興味はもっと深まります。

「発見する→興味を深める」の繰り返しがどんどん好奇心を広げ、それが科学の神秘を知るきっかけになるなんて、ちょっとおトクな気分になりました!

■勉強や習い事よりもっと大事な人生の土台

 子どもたちが当たり前にしているあそびには、こんな意味があったのですね。「うちの子はうまくあそんでくれない」という悩みについても、いろいろなアドバイスが記されています。もしかしたら、習い事が多すぎるなど、大人から与えられる刺激が強すぎて疲れているかもしれません。乳幼児期はあそびの中で頭が活発に動いているので、次々と刺激を与えると疲れてしまうのです。

 将来の幸せと成功につながる「非認知能力」は、まさに人生の土台になる要素。勉強や習い事より前に、まずは身につけさせてあげたい力だと感じます。紹介されているあそびは主に0〜5歳児向けですが、それ以降でも遅くないそう。大切なのは、子どもがワクワクして没頭できるあそびを身の回りに見つけ、存分にさせてあげることだとか。

 著者は「じつは、子育ては当たり前のことが大切」と語ります。子どもに無条件の愛をそそぎ、身の回りのものであそばせる、という当たり前のことが、ワンオペや都会暮らしの多い現代社会では意識しないと難しい。だからこそ、本書を手元に置いて時々開き、子どもの将来のために大切なことを忘れないでおきたいと感じました。

文=吉田有希