最初から夫婦円満なんて超奇跡! パートナーと幸せになりたい人が捨てるべき夫婦神話とは

暮らし

2019/7/23

『「夫婦神話」を捨てたら幸せになっちゃいました』(心屋仁之助/WAVE出版)

「けんかをしない、おしどり夫婦こそ理想の夫婦」。そう思っていませんか? そんな人におすすめしたいのは『「夫婦神話」を捨てたら幸せになっちゃいました』(心屋仁之助/WAVE出版)です。

 なぜこの本を手に取ったのかというと、私自身も仕事をする上でパートナーシップが重要だと感じたからです。特に子どもがいるとパートナーシップはより重要になります。子どもがいない夫婦に比べると、自分のこと以外に多くの時間やエネルギーを割かなくてはならなくなりますからね。

 著者の心屋仁之助さんは、心理カウンセラー。本書の内容は、著者自身が体験した夫婦の葛藤や悩みをヒントに、仲良し夫婦になるまでの秘訣をまとめたものです。とはいえ、自分たちはこうすればうまくいったよ、という自慢する内容ではありません。こんな夫婦の形もアリなんだ、という気づきをもたらしてくれるものとなっています。

 読者が救われるのは「完璧な夫婦なんて世の中にはほとんどいません」という言葉だと思います。特に、喧嘩なんか一度もしたことがないおしどり夫婦を理想に掲げている人にとって、この言葉は新しい考え方を示してくれる言葉になるのではないでしょうか。

 個人的にとても納得感があったのは「『謎のマイルール』を押し付けようとするから、喧嘩する」という章でした。本書の中には、ときどき著者と著者の奥さんがそれぞれ犬とネコの姿で登場します。この2人の会話を読んで「うちのことだ!」と感じる人は少なくないでしょう。たとえば、次の会話です。

ネコ:私が「そんなに怒らないでよ」って泣くと、「だったら怒らせるなよ」ってもっとキレる。そんな人だった。
犬:じゃあ僕は何を怒っていたのかというと、「なんでこうしないんだ」「なんでそんなことするんだって」って怒っていた。それをさらに紐解けば、「なんで僕と同じようにしないんだ」って……。最低やね(笑)

 このくだりを読んで、喧嘩の根本的な原因は私たちがパートナーを「違う人間」だと認識していないことにあるのではないかと感じました。「なんで自分と同じようにしないのか」という問いに対しては「当たり前です。同じ人間ではないのですから」という答えが適切でしょう。しかし、私たちはそれを忘れてしまいます。特にパートナーという親しい関係にある人に対しては「きっと自分と同じように感じてくれているはずだ」という期待を持ってしまうのかもしれません。

 もうひとつ、興味深いと感じたのは「日本の良妻賢母はサゲ妻」という著者の主張でした。私たちは社会生活をする中で何らかの役割を期待されています。結婚し母になったら、いい妻、いい母にならなくてはならない。そう思い込んでいる人は少なくないのではないでしょうか。

 古典的な良妻賢母像を心から望んでいる人であれば問題ありません。しかし、必ずしもすべての人がそう望んでいるわけではありません。中には「やりたくない」と思っているものの、そうしなくてはならないと思うから頑張っている人もいるはずです。我慢を重ねていると、どうしてもイライラするようになってしまいます。その結果、怖い妻、怖いお母さんになるのです。

 やりたくないことをイヤイヤ続けて不機嫌を撒き散らすよりも、潔く「やらない」と決めて自分がやらなくてもいい仕組みを作ることの方が建設的な考え方かもしれません。

「夫婦には夫婦の数だけ正解がある」という著者の主張に心が軽くなる気がするのは私だけではないでしょう。ステレオタイプ的な男女の役割分担や「夫婦神話」に苦しめられている人は、ぜひ本書を手に取ってみてください。

文=いづつえり