勉強ギライは克服できる! ARCSモデルから見る小学生の勉強方法

出産・子育て

2019/7/31

『「やる気」を科学的に分析してわかった小学生の子が勉強にハマる方法』(菊池洋匡・秦一生/実務教育出版)

「子どもにきちんと勉強をしてもらいたい」というのは、多くの親が願っていることだろう。勉強が人生のすべてではないが、学習が人生の助けになるのは間違いない。しかし、子どもを机に向かわせるというのは簡単ではない。世の中には子どもにとって興味を引かれるものがたくさんあるからだ。それらをすべて取り上げるのも難しいし、そもそもそのような方法で勉強させても、長続きしなかったりする。そして、声を荒ららげてしまうのだ。「勉強しなさい!」と。

『「やる気」を科学的に分析してわかった小学生の子が勉強にハマる方法』(菊池洋匡・秦一生/実務教育出版)は、そうした親の悩みに答える一冊だ。本書では、子どもに勉強させるのではなく、「子どもから勉強をしたくなるようにする」ことを推奨している。その方法として、「ARCSモデル」を使うべきだというのだ。

 ARCSモデルの最大の特徴は、子ども自身の自発的な行動を促す点にある。子どもが自分から勉強をしたいと思える環境を整えていくことが重要だ。そのための具体的な方法が本書ではいくつも提示されている。そのなかで、コツとなるのが「ゲーム感覚」と「成功体験」である。

「勉強を楽しむ」ことこそ、自発的な学習を促すカギだ。学校の勉強には、そうした遊びの要素が少ない。だからこそ、子どもは勉強を「強制されている」と感じてしまう。そうではなく、本人の意思で勉強を始めてもらうには、「楽しい」「おもしろい」という感覚を持たせなければならない。そのための方法として「ゲーム」の要素を取り入れるべきだという。ゲームといっても、特別な機械が必要なわけではない。たとえば、算数を「パズル」と呼ぶ。問題や課題を解くという点では、算数もパズルも変わらない。そして、子どもは算数よりもパズルのほうが好きなのだ。内容は同じでも、本人が「遊んでいる」と思えば、それは遊びに変わる。

 また、ゲームとして楽しむためには、明確なルールも必要になる。たとえば、問題を解く時間を制限する。1つの問題について、「回答時間は10分」と決め、時間が過ぎれば問題を回収するのだ。そして、ゲームなのだからきちんと「スコア」を出す。点数を記録することで、子どもは自分が上達していることを実感できる。それは、小さな成功体験を積み重ねることにつながり自信を持つようになるのだ。そして、「もっと高得点を取りたい」と思うようになる。子どもというのは、できることが増えたり成長を実感できたりすれば、自然とやる気を持つからだ。

 子どもに勉強をさせたいというのは、親にとって素朴な願いである。しかし、それは決して無理強いできるものではない。叱りつけて机に向かわせたとしても、それだけで子どもが勉強してくれるとは限らないからだ。結局は、本人のやる気の問題になってしまう。子どものことを思うあまり、「勉強しなさい!」「どうしてもっと頑張らないの!」と怒りたくなるかもしれないが、それはほとんど効果がない。それどころか、逆に子どものやる気を失わせるきっかけになる場合もある。子どものやる気の源は、興味であり好奇心だ。勉強以外のことに関心が向いているときに、無理やり勉強を押しつければ、好奇心が弱くなる可能性もある。それでは、子どもの持つ力を活かすことはできない。

 もっとも大切なのは子どもの視点に立つことだ。「どういうものに興味を持つのか」「どうすれば行動してくれるのか」を考え、それに合わせて導いてあげる。それが親から子どもにしてあげられる唯一の、そして最大のことなのだろう。本書は、子どものやる気を引き出すためのさまざまな方法が具体的に書かれた一冊だ。それは決して難しいことではない。普段から心がけるわずかな工夫が、子どもを勉強好きにするための力になる。

 今、子どもの教育に悩んでいる人やこれから子育てに向き合う親には、ぜひ本書を読んでもらいたい。子どもに勉強してもらうために、まずは親として学ぶことがあるとわかってもらえるだろう。

文=方山敏彦