女子大生が中年男性に“ソロキャン”の弟子入り! キャンプ飯満載の“ふたり”ソロキャンプ

マンガ

公開日:2019/8/13

『ふたりソロキャンプ』(出端祐大/講談社)

“ソロキャンプ”どうやるの? どんな楽しさがある? なんて方にすすめたいマンガが『ふたりソロキャンプ』(出端祐大/講談社)だ。

 今キャンプは空前のブーム。アウトドアをゆるく楽しむアニメ「ゆるキャン△」の大ヒットも記憶に新しい。さらにオシャレに手ぶらでできるグランピングも人気で、初心者も気軽に楽しめるようになっている。

 本作で紹介されるソロキャンプとは文字通り、独りで野営することである。ただタイトルは“ふたり”ソロキャンプである。「?」と思うだろうが、それが本作のミソ。美女と野獣のような男女の出会い、彼らのソロキャンプが本格的なアウトドア情報と共に描かれる。

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■キャンプ初心者女子(20)、いかついソロキャンパーに弟子入りする

 キャンプは友達や家族とするのは楽しい。だが独りで思い立った時にぷらっと行くことができ、自然の中で自分がやりたいことをなんの気兼ねなくやれるのがソロキャンプの魅力。釣りをするもよし、キャンプ飯をつくって食べるもよし、何もしないで芝生やテントの中で寝ていてもいい。全ては自分だけの意志で決められるのだ。

 そんなソロキャンプの醍醐味を満喫していたのが主人公、樹乃倉 厳(きのくらげん)。自然を愛し、孤独な自分の生き方を愛するソロキャンパーだ。34歳のいかつい男が山へ入り、テントを張り、薪を拾って焚火をし、食事をつくって食らい、酒を飲む。本作で描かれるのはそんな“孤独のキャンプ”…だったのだが、厳は草野 雫(しずく)という20歳の学生とソロキャンプ中に出会う。

 雫はキャンプにハマって独りで行ってみたくなったという。とりあえず来てみたこの初めてのソロキャンプでの失敗、考えのあまさなどを厳に指摘され「帰れ」と言われる。しかし雫はめげない。“ソロ上級者”である厳についていく! ソロキャンプを学びたい! と言い張りくいさがる。

「ふたりソロキャンプをしましょう!!師匠!!!」

 孤独を愛する、というか人間嫌いであった厳は、最初は戸惑い拒絶する。しかし子供の頃にキャンプを教えてくれた今は亡き父親を想い、雫の面倒をみてやることにするのだ。

 2019年8月に発売された第3巻では、厳がついに師匠としての自覚(?)に目覚める。また厳の高校時代からの友人であるイケメン彰人(あきひと)が登場。彼の登場によりフケ専・ブラコンの雫と、めんどくさいオジサンである厳との関係が徐々に近づいていく。

■本格的なキャンプ知識が身につく! お手軽でも激うまなキャンプ飯レシピも

 ソロかどうかに関係なく超のつくキャンプ初心者の雫。彼女がテントの張り方、火の起こし方、ギア(キャンプ用品)の種類や使い方、自然との付き合い方などを厳から学んでいくストーリーだ。

 その本格的な説明・情報はキャンプ素人の筆者にもわかりやすく、雫ができるなら…自分もとの思いにかられ、本気でキャンプに行ってみたくなった。正直ギアと本作さえあればキャンプに行ける気がしてくる。

 中でもほぼ毎回描かれるキャンプ飯がとにかくおいしそうなのである。作者の出端氏の画力の高さもさることながら、ただソーセージを茹でただけ、肉を焼いただけ、缶詰を直接火にかけるだけ、コンビニで買える食材を使用する…など、どれも簡単そうなレシピ・メニューで、凝ったものでないだけに味も想像できるのがいい。「うまぁ…」といかつい顔を崩して毎回キャンプ飯をほおばる厳は言う。

「どこで食うかって結構大事なことだろ」

 厳はもちろんソロでこれらを楽しみ、雫とうまさをわかちあう。さらに焚火で淹れたコーヒーや、冷え冷えのビールも自然の中で心行くまで味わい…キャンプに行ったことがない筆者でも、これ最高なやつでしょ! と容易に想像できる。

 本作を読めば、間違いなくソロキャンプがやってみたくなるだろう。雫と厳のように、“複数人ソロキャンプ”も楽しそうだ。

文=古林恭