愛され続けてついに連載35周年! ずっと変わらない『鎌倉ものがたり』の魅力とは

マンガ・アニメ

2019/8/25

『鎌倉ものがたり(35)』(西岸良平/双葉社)

 この夏、話題の映画が多く上映されている。『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』もそのひとつで、総監督と脚本を務めるのは山崎貴氏だ。氏は数々のヒット作を監督しているが、2017年に公開された『DESTINY 鎌倉ものがたり』を思い出すという人もいるだろう。この映画は西岸良平氏の漫画『鎌倉ものがたり』を原作としており、現在、35年も連載が続いている長寿作品だ。そして最新巻である『鎌倉ものがたり(35)』(西岸良平/双葉社)でも、これまでと変わらぬ絵のタッチと世界観で読者を楽しませてくれる。

 作品の概要を簡単に説明すると、鎌倉に住む小説家・一色正和と亜紀子の夫婦が、鎌倉で発生する不思議な事件や現象に巻き込まれつつ、解決していくという物語だ。ちなみに彼らの住んでいる鎌倉は、魔物や妖怪など魔界の住人が闊歩する場所でもあり、鎌倉の人々はそれを割と普通に受け入れている。

 例えば最新巻では、鎌倉の亀ヶ谷に住む猫の妖怪「猫王」が一色夫妻を新年会に招待したり、葉山警察署にはタヌキの警察官「狸山ポン吉刑事」が勤務していたりと、人間と魔物が自然と共存している姿が描かれている。この他にも、魔物による犯罪に対応するため鎌倉警察署には「特捜課」(別名「心霊捜査課」)が存在。人知の及ばぬ超常的な事件を捜査しているのである。人と魔物の距離が近いことが、本作の独特な世界観を生み出しているのだ。

 また長寿作品ならではの、過去のエピソードが絡んだ事件も描かれる。今回はかつて亜紀子がタイムスリップしたときに、正和の祖父・一色信夫と出会ったエピソードに関連した事件が発生。時間を越えて信夫が亜紀子に贈ったカシミヤのコートが、彼女の危機を救ったのである。当然、過去のエピソードを覚えていれば面白さも倍増だが、忘れていても大丈夫。漫画の中で過去のどのエピソードなのかを教えてくれているので、すぐに思い出せるはずだ。

 聞いた話では「双葉社」の漫画といえば『鎌倉ものがたり』を挙げる向きも多いのだという。たくさんの熱烈なファンによって支持されているがゆえに、35年に亘って連載が続いているのだろう。どこか懐かしく、そして温かいタッチの絵柄と家族の絆や人情を大事にした物語で描かれる『鎌倉ものがたり』は、これからも多くの人々に愛され続けるに違いない。

 最後に、双葉社では連載35周年を記念して、特設サイトを開設。アニバーサリーを祝したさまざまな企画が用意されているので、気になる人はぜひアクセスしていただきたい。

文=木谷誠

鎌倉ものがたり誕生35周年