海外旅行が「コミコミ5万円」で行ける時代! LCCなどを上手に使って旅を楽しもう

マンガ・アニメ

2019/9/15

『コミコミ5万でどれだけ海外旅行を楽しめるのか!?』(小沢カオル/ぶんか社)

 2018年に訪日外国人が初めて3000万人を突破したという報道はよく聞くが、実は日本政府観光局の統計によれば、2018年に海外へ出国した日本人の数も1900万人近くにのぼり、過去最高であった。これはLCC(格安航空会社)が多く就航するなど、海外渡航が以前より低価格で可能になってきたためだと思われる。では、現実に一体どのくらいのコストで渡航可能なのか。『コミコミ5万でどれだけ海外旅行を楽しめるのか!?』(小沢カオル/ぶんか社)は、可能な限りお金をかけないで海外旅行を楽しむことを目指した作者・小沢カオル氏の旅行エッセイ漫画だ。

 本書は旅が趣味の作者が「旅費、宿泊費コミコミ5万円」で海外旅行に挑戦するという企画モノ。最近はLCCなどの安く海外へ行ける条件が整い、さらにトラベルサイトで簡単に格安の旅行プランが検索できるようになった。もちろん予算が5万円だと近隣のアジア圏に限られてくるが、旅を楽しむという目的ならば十分だろう。本書ではシンガポールや台湾、タイなどアジアの5箇所を巡っている。

 基本的に、海外旅行において最もお金がかかるのが「航空券」である。しかし最近では往復料金でも、本書によればシンガポールで3万7000円程度、台湾だと1万7000円程度で行けてしまう。宿泊費も予算に響く要素のひとつだが、安いゲストハウスなどを利用すれば3泊で4000円程度で済むこともあるという。例えば作者のシンガポール旅行は往復航空券と宿泊費を合わせて4万1000円程度であり、予算の残り1万円近くを遊興費に使えるのだ。もちろん豪遊はできないにしても、旅を楽しむ分には不足なさそうである。

 では作者は、どのような旅行を楽しんだのか。シンガポールの初日は日本から11時間かかっているので、到着は夜であり本格的な行動は翌日から。ヒンドゥー教や仏教、イスラム教の寺院巡りに出かけているが、拝観は無料のようなので、低額旅行には最適。しかもアジアの交通費は非常に安く、シンガポールでは電車賃がほぼ200円以内だという。また食事も大体1000円以内で収まるので、1万円あれば結構いろいろな場所を見て、食を楽しめるのだ。

 そして作者いわく、一番旅を面白くしてくれたのは「人」だそうだ。シンガポールではモスクで出会った日本人ムスリムの女性に町を案内され、中国の上海ではホテルの予約確認で現地の中国人に助けられている。また5万円くらいの旅だと交通費節約のために町を歩くことで、より現地の空気に接することができるのだ。「友達と一緒でもひとりで行っても、必ず誰かと関わって、いろんな人種、いろんな宗教、いろんな文化に巻き込まれる」と語る作者にとって、人との出会いこそが旅の醍醐味なのかもしれない。

 作者は旅好きだからなのか、もともと外交的なのか、海外在住の友人が多い。ゆえにタイや中国、韓国では現地の友人を伴って町を散策したりしている。作者は旅慣れていなくても「何とかなります」といっているが、こういう旅の仕方はやはり旅慣れていてこそとも感じる。おそらくあまり旅慣れていない人には、この「5万円海外旅行」は少々ハードルが高いかもしれない。しかし作者のような「旅好き」な人たちにとっては、格安で海外へ行ける状況はまさにパラダイスであろう。ちょっと自信がないという人は、まず国内旅行で慣れてから挑戦してみるのもいいかもしれない。

文=木谷誠