真夜中にコンビニで牛乳プリンを買って、公園で一緒に食べる――些細な日常にキュンとする、アラサーOLと年下彼氏の同棲生活

マンガ

公開日:2019/12/6

『ふたり明日もそれなりに』1巻(すずゆき/新潮社)

 大好きな人と毎日会えて、一緒にご飯も食べられる同棲生活。別々の環境で育ったふたりだから、時には喧嘩もするけれど、何気ない日常に幸せを感じられる機会がグンと増え、恋人がより一層愛おしくなった…! なんて経験をした人もきっとたくさんいるはずだ。

 すずゆき先生のマンガ『ふたり明日もそれなりに』(新潮社)は、そんな同棲生活の、胸がキュンとする幸せがたくさん描かれているラブコメディだ。

 登場するのは、付き合って1年と3カ月目で、1LDKのアパートで同棲を始めた愛田優弥(25)と相原里央(28)。女性が3歳年上の社会人カップルである。本書は、同棲生活も2カ月が経った頃から始まるのだが、好物の牛乳プリンを勝手に食べられて怒ったり、風邪を引いたら看病したりといった「同棲あるある」の他にも、何の変哲もない毎日が、ふたりで過ごすことで愛おしくてたまらなくなる瞬間がたくさん描かれている。特に、年下彼氏の優弥が、里央のことが大好きで、何かと喜ばせようと奮闘しているところに心惹かれた。

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 例えば、里央が「会社の部長が作った卵焼きがおいしかった」と報告すると、優弥は速攻スーパーに行き、高い卵を買い、夕飯に全力を注いだ卵焼きを作り「最近食べた卵焼きの中で何番目においしい?」と尋ねる。また、里央が用事で実家に帰ると、平気な顔をしながらも、内心寂しく思っており、里央から電話がかかってくると、壁に頭を打ちつけながら秒で電話に出る。「ただ声聞きたかっただけよ」と言われて、頬を赤らめながら喜んでいたところも、とても可愛かった。

 真夜中に目が覚めたら、一緒にコンビニへ行き、牛乳プリンを買い、帰りに公園で食べる。里央が「あーん」と食べさせようとすると、優弥が不意打ちでキスをして照れるシーンにも胸がときめいたし、横になって寝ていたら、毛布をかけてあげたり、代わりに夕飯を作ってあげたり…。ふたりとも、暮らしの中のちょっとした行動に、相手を大切に思っていることが伝わってきて、素敵なカップルだなと感じると同時に、最後まで安心して読むことができた。

 本書は、カップルのドキドキ感だけでなく、共に暮らしているからこその安心感や、信頼感が垣間見えるのも魅力だ。ふたりの穏やかで甘い日常は、ずっと見ていたくなるし、自身も好きな人のことを、もっと大切にしたいという思いも湧いてくる。「普通」の出来事が「特別」になるのは、やっぱり愛する人の存在が大きいのかもしれない。

 些細な幸せであふれているふたりの同棲生活を、ぜひ堪能してみてほしい。

文=さゆ