身内の死を「音」で聞き取った人、自分の手術を天井から見下ろした人…病院で起こった不可思議現象を実録

エンタメ

2019/12/29

『病院で起こった不思議な出来事』(南淵明宏/マキノ出版)

 ただでさえ寒いこの季節に、背筋がゾクッとするような話にふれてみるのも一興かもしれない。体を芯から温めてくれるこたつやストーブのぬくもりが、よりいっそうありがたく味わえるようになるはずだから。
 
 そこで紹介したいのが、科学では説明できないさまざまな現象をまとめた『病院で起こった不思議な出来事』(南淵明宏/マキノ出版)だ。医師であり科学者である著者は、現代科学では説明できないものを、「だからといって存在しない」と判断するのは、あまり科学的ではないと主張する。

■母の死を“音”で感じ取った医療関係者の夫

 医療関係者が体験したエピソードをまとめた本書。例えば、病院のスタッフであった50代の女性・Aさんは、60代になる自分の夫が「死を告げる音」を感じ取ったことがあると語る。

 Aさんの夫はいわゆる「見える人」だという。ある日、子どもたちも寝静まった夜遅くに、夫婦はリビングでお茶を飲んでいた。しばらく何事もなかったのだが、ある瞬間にふとご主人が読んでいた雑誌から顔を上げて「あれ? いま、和室からドンという音がしたよね? 話し声もした」とつぶやいた。

 その家の1階にはリビングと応接間と6畳の和室があったが、当時を振り返ってAさんは「私には何にも聞こえませんでした」と話す。そして、納得のいかなかった様子の夫はその後、立ち上がって和室へ向かったのだが、その場では何も見つからなかった。

 しかし数日後、Aさんはある奇妙な電話を受けた。夫の兄から告げられたのは、義母が亡くなったという報せだった。その内容がじつに不可思議。独り暮らしであった義母の死亡“推定”時刻は、Aさんの旦那さんが和室で「ドン」という音を聞いたまさにその時刻と一致していたというのだから…。

■手術中に“自分の姿を見下ろした”と話す患者

 本書では、生と死の狭間を行き来する臨死体験での奇妙な報告も綴られている。心臓外科医である著者の患者であったひとり、70代のJさんは一命を取り留めた心筋梗塞の手術中に、自身の姿を見下ろしていたという。

 手術から生還したJさんは、集中治療室で著者に「先生、私の手術をしていた部屋の隣で、赤ちゃんが生まれていませんでしたか」と語り出した。

 それが事実であったことから、驚いた表情でうなずいたという著者。その後さらに、Jさんは「手術中、私は宙に浮き、自分が手術されている姿を見ていました。それだけじゃありません。隣の部屋で、赤ちゃんが帝王切開で取り上げられるところも見ることができたんですよ…」と説明を続けた。

 科学的に明らかにはなっていないものの、本書によれば臨死体験は、脳内で作られた「脳内現象説」と、魂が実際に体から抜け出しじかに本人が体験する「魂の離脱説」に大きく分けられるという。

 Jさんの体験がどちらに当てはまっているかは分からない。ただ、少なくとも手術室から離れた位置で起きていた出来事も認識できていた以上、本人が“脳内でただ見ていただけ”とは判断しがたいのも事実だ。

 人間の生死につねに近い場所にいる医療関係者たちによる証言は、「ただ怖い」だけではないのが本書の醍醐味でもある。著者もこう語る。

「死の間際に抱かれた、それぞれの思いは強く残り、ひょっとしたら、その思いを宿していた肉体よりも長らくその場にとどまり続けることがあるかもしれません」

 人の意識や思念が“目に見えない形”ですぐ近くにいるかもしれない…そう思わされるのだ。

文=カネコシュウヘイ

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