秀才なのに職場に恵まれず放浪生活? こんな人だった(かも)な明智光秀!【『麒麟がくる』の主人公を4コマで】

マンガ

公開日:2020/1/13

『明智光秀放浪記』(重野なおき/白泉社)

 2020年の記念すべき大河ドラマ『麒麟がくる』の主人公は、みなさまご存じの明智光秀! 「信長を裏切り、倒した人」ということで一躍有名になった彼ですが、謀反を起こした理由がはっきりしていなかったり、その後すぐ秀吉に敗けちゃったりと、いまいち、その人間性や目的に謎が多い人物ではないだろうか?

『明智光秀放浪記』(重野なおき/白泉社)は、そんな明智光秀の若かりし頃(信長に仕える以前)を、楽しく分かりやすく描いたギャグ4コマだ。

 著者はTVアニメ化もした『信長の忍び』や、真田一族の生き様を描いた『真田魂』でおなじみの重野なおき先生。

advertisement

 重野先生のフィルターを通して描かれる戦国武将は、カッコいいだけではなく、人間くさい「弱さ」や「癖」などがあり、とても親しみやすく感じる。

 ギャグでありながらも、歴史的な大事件(合戦や主君の死など)において、武将が感じた「悲喜こもごも」が、胸に迫る瞬間があったりして……。そういう重野先生の作品が、歴史マニアの私はどれも大好きなのだ……!

 さてさて。本作は明智光秀の「苦労時代」にスポットが当てられている。

 斎藤道三の家臣として、小さいながらも一国一城の主だった光秀。「秀才」と称された彼は、道三のもとでその才能を存分に発揮する……かと思いきや、道三が実の息子に討たれたことにより、光秀も国外追放。愛する妻と子ども、家臣を連れて、仕官先を探し諸国を放浪する生活に。

 しかし、中々就職先は決まらず。

 長い放浪生活の末、ようやく雇ってくれた朝倉家の当主は光秀をただの雑用としてしか扱わず、光秀は不遇な状況に耐え忍ぶ日々を送る。

 だがそこへ、京の都から将軍・足利義昭が朝倉家にやって来たことがきっかけとなり、色々あって光秀は信長の家臣となる。

 信長は光秀の才気を見抜き、彼の才能を存分に活かしてくれた。光秀にとってそれは、大変ながらも充実した日々だったのだが……。

 本作は、光秀が自分の才能を認めてくれる上司(信長)に出会ったところで終わりとなる。

 その後、なぜ光秀が信長を裏切ったのか。

 それは本作を読み、「光秀ってこういう人物だったのか~(目が恐い人なんだ~)」と知ってもらい、読者自身で考えてみるのも楽しいのではないだろうか。

 もしかしたら愛する妻・煕子(ひろこ/光秀が激LOVE)や家臣を守るためだったのかもしれないし、信長に対する個人的な怒りだったのかもしれない。

 分からないけれど、そこには絶対に、光秀の「確固たる信念」があったのだ。

 本作、大河ドラマが始まる前に、「一番読みやすくて笑える」予習としてオススメしたい。きっと光秀のことが大好きになるはずだ。

文=雨野裾