上司の理不尽な怒りは「怨念入りコーヒー」で解消! ポジ思考で生きる“憎めないブス”

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2020/2/14

『憎めないブス』(清川キヨコ/大和書房)

「私って自分が思っているよりも、かわいくないのかもしれない…」。

 生きていく中でその事実に気づくと、理不尽な世の中に対して卑屈になってしまう。けれど、生まれながらの埋められない格差に苦しみ続けるのではなく、理不尽さも含めて「私」という人間を楽しんでいけたら、今より肩の力が抜ける生き方ができるかもしれない。『憎めないブス』(清川キヨコ/大和書房)に描かれている“憎めないブス思考”には、「今の私」を謳歌する術が詰め込まれている。

 著者・清川さんはコンプレックスを明るくはねのけるメンタルの持ち主。自らの日常を切り取ったLINEスタンプ「憎めないブス」は60万ダウンロードを記録した。本書はそんな清川さんこと、キャロラインの日常をまとめたコミックエッセイだ。







 キャロラインは自分が決して美人ではないことを自覚しているが、底抜けにポジティブ。世知辛い世の中で感じるストレスや嫉妬、モヤモヤを抱腹絶倒な思考で明るく乗り越える。

“雨が降ろうとヤリが降ろうと私は私のままで生きていく みんなに「メンタル強いね」って言われるけど 一度きりの人生楽しまなくちゃ損なのだ”

 そう語るキャロラインの毎日には、お手本にしたい人生観がたくさん。自分が抱えているコンプレックスの愛し方も見えてくる。

■上司のストレスは「怨念入りコーヒー」で解消

 日常には、さまざまなストレスが入り乱れている。他人からのふいうちなひと言に傷つけられ、上手くいかない人間関係に悩み、美人な友人やいきいきしている同僚が眩しく見えて卑屈になってしまう日だってある。けれど、「理不尽」の受け止め方を少し変えていけたら世の中もどうにもできないコンプレックスも許せるようになるかもしれない。キャロラインの“憎めないブス思考”には、そう思わせてくれる力がある。

 例えば、赤の他人から理不尽な怒りを買った時、キャロラインは脳内で相手を「ツンデレ美少年」に変換。



 周囲が余裕を持てない時こそ、自ら余裕を持ち、ポジティブな世界で自分を癒す。心の平穏を守るキーポイントが、この術には詰め込まれているように思う。

 また、上司から身勝手な怒りを向けられるという、あるあるなストレスを「怨念入りコーヒー」でこっそり解消するというのもキャロラインならでは。



 思いつく限りの悪口を混ぜ込んだコーヒーを上司がおいしそうに飲む姿を、爽やかな笑顔で見守るのも一興だと語る。

 ユニークな対処法を武器にしながら、理不尽な世の中を明るく突き進むキャロライン。彼女の人生観は、ひとつのケーキを目の前にした時にもうかがい知れる。



 前向きでたくましく、コミカルな人生謳歌術に私たちの心は照らされるのだ。

■他人を蹴落とさない“憎めないブス思考”

 なぜ、こんなにもキャロラインは憎めないのだろうか。そう考えた時に、ハっとした。彼女は自分を大切にするだけでなく、周りへの気遣いもさりげなくできる女性なのだ。それは「写真の加工法」からもうかがい知れる。

 インスタ映えが話題の近年は、友人との写真から女子の思惑が透けて見えることも多い。隣に並ぶこの子よりも綺麗に見られたい。つい、そんな願望を抱き、自分を魅力的に見せ、他人を貶める加工に勤しんでしまうこともあるだろう。

 だが、キャロラインは自分も相手も平等に加工する。



 自分にだけ写真加工する友人への言葉にできないモヤモヤを抱いたことがあるからこそ、配慮を怠らない。



 自分がされて嫌なことは他人にはしないという優しさを持ちあわせているのだ。

 相手を蹴落としたり利用したりすることでコンプレックスをカバーしようとしないキャロライン。その生き方は、単にポジティブなだけでない。誰のことも不幸にしない優しさと強さがある。彼女はやはり憎めないブス…いや、愛すべきタフガールなのだ。

文=古川諭香