退屈な文章やつまらない話を、グンとわかりやすくするのは「段落」の分け方! いつどこで区切る?

文芸・カルチャー

公開日:2020/4/24

『段落論 日本語の「わかりやすさ」の決め手』(石黒圭/光文社)

 文章を書くとき、「段落」についてどれくらい意識しているだろうか? 正直なところ「なんとなく」で区切っているという人が大半だろう。国語の授業で「形式段落」「意味段落」を習ったことはある…と思い出すことができれば優秀なほう。ライターである筆者もまた、「なんとなく」派の一員である。書店で『段落論 日本語の「わかりやすさ」の決め手』(石黒圭/光文社)を見つけたときは、「段落で本1冊分も語ることがあるのか…?」と疑問に思ったほどだ。
 
 しかし、本書を読み終えた今、その認識は改められている。段落は、文章の読み書きをはじめとした、我々のコミュニケーション全般を助ける重要な役割を担っているのだ。もし、あなたが「伝えたい」とか「理解したい」と思ったことについて課題を感じているのなら、本書で説かれる段落の本質は、大いにその助けになるはずだ。

そもそも、段落は何のためにある?

 著者は、段落の役割を「引っ越し」にたとえて説明する。文章を書くこと全体を「引っ越し」とするならば、段落はいわば「個々の段ボール箱」にあたる。私たちが実際に引っ越しをする際、荷物は多くなるのでひとつひとつの荷物内容をすべて把握することはできない。衣服や書籍、家具といったカテゴリに分けて、それらを段ボールに入れて「衣服1」などとラベルをつける。そして、引っ越し先で荷物を解くときにも、そのラベルをもとに目的の荷物を探り当て、新しい家の中で配置していく。文章も同じだ。適切な段落(段ボール)に分けることで、書き手と読み手の双方にとって内容や情報を整理しやすくなるのだ。

「小見出し」のすすめ

 では、いざ文章を書こうというとき、具体的に何に気を付ければいいのか。著者がすすめるのは、段落に「小見出し」を付けることだ。たとえば、この記事にも3つの小見出しがある。はじめとおわりの文章を除いた、主に書籍の内容について語る3つの段落だ。小見出しを付けることで、段落の役割が明確になる。今この文章を書いている筆者は、『段落論』における「小見出し」のパートに集中して説明することができるので、そのほか全体の構成にまで意識をわたらせる必要がない。そして、この文章を読んでいるあなたは、次の小見出しが現れるまで、「小見出し」の理解だけにぐっと集中できるはずだ。

ネット時代に必要な「展開段落」

 インターネットの登場が、段落にも変化をもたらしている。紙の書籍の場合は、たいていひとつの段落に、話題の提示から結論までがまとまっている。しかし、ネット上の文章には少々異なる傾向がある。段落ごとによくまとまりすぎていると、読者が「続きを読みたい」と思う気持ちになりにくいのだ。そのため、話題だけを先に投げかけておき、肝心なネタは小出しにする。たとえば、この記事の冒頭から「段落とは○○だ」と結論を先に言ってしまうと、続きはあまり気にならない。代わりに、「普段なんとなく分けていた段落には、実は本1冊分の奥深さがある」と興味喚起して語るほうが、後の段落まで読者を引っ張ることができるというわけである。

 段落が重要なのは、文章を書くときだけに限らない。たとえば、パワーポイントで作る資料。この中では1枚1枚のスライドが段落であり、そのまとまりを意識することで、ぐんと伝わりやすくなる。ほかにも、連続したSNSの投稿や、飲み会でのエピソードトークだってそうだ。本書を読めば、さまざまなコミュニケーションが、段落によって成立していることに気が付く。「なんとなく」ではなく、意識的に使いこなせば、あなたの言葉は圧倒的に伝わりやすくなるはずだ。

文=中川凌(< href="https://twitter.com/ryo_nakagawa_7" target="_blank">@ryo_nakagawa_7)

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