「一入」は“ひとしお”では「乃ち」は? 読めそうで読めない漢字10問

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更新日:2020/4/27

『読めそうで読めない漢字2000』(一校舎漢字研究会/永岡書店)

「一入」という漢字を見て、みなさんはなんと読みますか? 正解は「ひとしお」。「努力を重ねただけに勝利の喜びも一入」のように使います。日本語は世界でも習得難度の高い言語とされています。その理由は、ひらがな、カタカナに加え、常用漢字だけで2136字、その読み方は音読み・訓読みを合わせて4388音訓にもなること。近年、日本で育っていてもパソコンやスマホの普及で若い世代の漢字能力が低下しているといわれています。そんなの他人事だと、みなさんは思っていませんか?

『読めそうで読めない漢字2000』(一校舎漢字研究会/永岡書店)は、一般常識である漢字検定2級レベルの「常識編」から、ちょっと難しい「実力編」、さらに上級レベルの「超難読編」に分けて読めそうで読めない約2000語の漢字を収録して、その読み方・意味合いを解説しています。学生時代に必死に勉強して覚えた漢字も、普段から使わなければ意外と忘れてしまうもの。また、見覚えがあってもなかなか出てこないこともあります。流行語にもなった「忖度(そんたく)」など、国語辞典やネットで調べずに即座に読めた方はいらっしゃるでしょうか。

 ここでクイズ形式にいくつか漢字を抜き出してみます。みなさん、どれだけ読めるか挑戦してみてください。

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(1)乃ち
(2)弁える
(3)束子
(4)屯する
(5)肖る
(6)心太
(7)孑孑
(8)回向
(9)垂んとする
(10)釦

 ここから回答です。答え合わせをしてみましょう。

(1)すなわち…「言い換えれば」という意味です。「即ち」「則ち」とも書きます。
(3)わきまえる…「場を弁える」のように物事の道理を理解していること。
(3)たわし…台所で鍋や食器を洗う時に使う道具です。
(4)たむろする…人々が群れて集まる様です。
(5)あやかる…「幸運に肖る」など、他人に憧れて似せること。
(6)ところてん…テングサを煮詰めて固めた食品。
(7)ぼうふら…蚊の幼虫です。
(8)えこう…仏教用語で自分の修行の成果を周囲に与えること。
(9)なんなんとする…まさに今なろうとしている様です。
(10)ぼたん…洋服についている留め金です。

 みなさんはいくつ読めたでしょうか。画数が多いわけでもないのに何故か読めない。自分もそんなもどかしい気持ちになりました。でも、答えをつきあわせてみると、「序で(ついで)」や「迚も(とても)」など日常会話で使っているのに知らなかった多くの漢字の存在に気付かされました。

 また収録されている漢字の中には、昔の照明であった「行灯(あんどん)」、武士の正装であった「裃(かみしも)」など、現代では廃れて使われなくなった漢字もあります。現代はどんどん新しい外来語が入ってきて、古い言葉が消えていってるように思います。

 大人の教養として語彙を増やすと共に、日本伝統の言葉に思いを巡らせてはいかがでしょうか。

文=愛咲優詩