あの人気作『けいおん!』待望の最新作! 懐かしい顔ぶれも登場するなど期待値高し!!

マンガ

公開日:2020/5/19

『けいおん! Shuffle(1)』(かきふらい/芳文社)

 現在、アニメなどでは「音楽バンド」をテーマにした作品が人気だが、やはりその火付け役といえるのが、2009年にアニメ化された『けいおん!』だろう。本作は同名の4コマ漫画が原作で、その世界観とアニメで用いられた音楽が高い評価を受け、今でもファンの多い作品だ。そしてその原作者・かきふらい氏による最新作が、『けいおん! Shuffle(1)』(かきふらい/芳文社)なのである。

 まず『けいおん!』という作品は、桜が丘高校に通う平沢唯、秋山澪、田井中律、琴吹紬、中野梓らによるバンド「放課後ティータイム」(以後「HTT」)の活動を、彼女たちのゆるい日常と共に楽しく描いた、いわゆる「日常もの」。他に「HTT」メンバーたちのその後を描いた『けいおん! college』『けいおん! highschool』も存在する。そして最新作となる『けいおん! Shuffle』は前作と世界観は共有するが、登場キャラクターは一新されているのがポイントだ。

 本作の主人公・佐久間紫は、とある高校に通う女子高生で、親友の清水楓と共に桜が丘高校の学園祭へ遊びにきていた。そこで聴いた「HTT」の演奏にふたりは衝撃を受け、自分たちもバンドを組みたいと思うようになる。早速、軽音部に入ろうとするが、実は彼女たちの学校に軽音部は存在しなかった。ふたりのクラスメイトである澤部真帆から「同好会なら存在する」ということを教えられた紫たちは、真帆も巻き込んで「軽音同好会」へ向かうことに。しかし軽音同好会の部室にいたのは2年生の先輩・佐藤莉子ひとりだけで、同好会は立ち退きを迫られている状態。紫たちが同好会に入れば問題は解決するということで、真帆もムリヤリ参加させられ、軽音同好会は再始動するのだった。

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 前作のキャラクター陣の設定と違うのは、紫たち1年生が皆、楽器の素人だということ。先輩の莉子も紫たちに「楽器はやってない」と告げており、まさしくイチからのスタートなのだ。結局、運動も勉強もできるけど、なぜかバカっぽく見られてしまう感情豊かな紫がドラム。マジメだけど、ちょっと融通が利かない真帆がギター。そして背が高くて美人だけど、実はおっとり天然キャラな楓がベースに決定。ちなみに楓がベースになったのは、前作の秋山澪がベースをやっていたからなのだが、その記憶が「……パンツ」! そう、学園祭の演奏後、澪がハデに転んでしまい、公衆の面前でパンツを晒してしまったあの件である。あの出来事は澪の心に深い傷を残したものの、楓の記憶にもバッチリ印象深く刻まれていたのであった。

 もうひとつ前作と異なるのは、先輩の存在。先述した佐藤莉子のほか、同好会には仲間がいたが、それぞれの事情で散り散りになっていたのだ。しかし紫たちの練習中、イキナリ部室に2年の先輩・岩崎しなのが現れる。彼女は海外留学していたが、留学先で弾き語りのバイトをしているうちに留学期間を過ぎていたという型破りな人物。それでも楽器演奏の技術は確かで、楓は感動のあまり弟子入りを志願するほど。そして莉子が「楽器やってない」と分かりやすい嘘をついてきた理由は、しなのたち、かつての仲間が帰ってくるのを待っていたからなのである。

 紫たちの演奏はまだまだ未熟であり、桜高学園祭で聴いた「ふわふわ時間」のコピーにも苦戦する日々。しかしそれだけに今後の成長が楽しみでもあるし、本作の「Shuffle」には「混ぜ合わせる」の意味もある。これは当然、先輩たちとの絡みもありそうだ。合間にちょいちょい登場する懐かしの顔ぶれも含めて、本作には期待しかないのである。

文=木谷誠