市川紗椰さんの鉄道愛が炸裂!『鉄道について話した。』がかわいくておもしろい

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公開日:2020/5/16

 好きなものに全力で愛を注ぐ、いわゆるオタクな人々。映画やアイドル、動物……愛の対象は人によってさまざまです。なかでも、鉄道はオタクの一大ジャンルといっていいほど、多くの人の心を捕らえています。

『鉄道について話した。』(市川紗椰/集英社)

 モデルの市川紗椰さんもまた、鉄道に魅せられた女性のひとり。彼女がテレビ番組や雑誌で鉄道について熱く語る姿を目撃したことがある人もいるのでは? そんな市川さん初の鉄道本『鉄道について話した。』(集英社)が、3月に発売されました。

『週刊プレイボーイ』で連載中の語りおろしコラム「ライクの森」のなかから、鉄道に関する内容だけを抜き出して、加筆・修正した同書。鉄道がコラムのメインテーマではないのに、本一冊分の分量になるとは。市川さんの鉄オタぶりがうかがえます。

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 冒頭には、市川さんが車両内や駅構内で佇む写真が掲載されており、透明感あふれる笑顔に癒やされます。彼女が長年鉄道に惹かれている理由は「電車は日常で出会える一番大きいメカだから」。言われてみれば、電車は間違いなく身近でもっとも大きい“メカ”ですね……!

 読み進めるほど、市川さんにとって鉄道は公共の交通機関以上の存在であることが伝わってきます。たとえば、3月に開業した「高輪ゲートウェイ駅」の名前についても、思案に暮れていました。

「高輪ゲートウェイ駅」。公募で決まったその名前は、公表された当初から物議を醸していました。市川さんも「決まったことにはとやかく言いたくはない」としながらも、彼女がもっとも懸念していた“キラキラネーム”が採用されてしまったようです。近年の新駅名のトレンドを分析すると、カタカナを使った名前は十分ありえた、と話します。

私が唯一許せると思っていたキラキラネームは、「高輪」を横文字にした「ハイループ駅」。「ハイループ」という観覧車も駅前に造って、周辺をにぎわせてほしかったです。悪ノリに聞こえますが、私は本気でした。

 たしかに、漢字とカタカナを中途半端に掛け合わせるよりも、思い切ってカタカナだけにしたほうがインパクトがありますね。じつは、市川さん本人も駅名を2案応募していたとか。キラキラ感をプラスした駅名と、通好みの渋い名前が紙面で公開されています。彼女が考えた駅名は、ぜひ本書で確認してみてください。鉄道ファンにとって新駅の名前がどれほど重要な意味を持つかが伝わってくるコラムでした。

 巻末には、書き下ろしコラム「市川紗椰の偏愛路線」が掲載されており、市川さんが愛する9つの路線が登場します。彼女が偏愛する路線は全国にわたっているので、読者のみなさんが使っている路線が紹介されているかも。まさに“鉄分”多めの一冊です。

文=丸井カナコ
© 集英社/東 京祐