「その崖っぷちが最高のチャンス」言葉が日々を癒やしてくれる! シンプルな名言集が心に深く刺さる理由

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公開日:2020/6/5

『特装版 人生を変える言葉2064』(西東社編集部:編/西東社)

 2020年。東京オリンピックが開催される予定だった今年、こんなにもふさぎ込むような日々が続くとは、おそらく誰もが思っていなかったはずだ。外出すらも満足にできなくなり、以前と比べてだいぶ気持ちが落ちている人もいるかもしれない。

 そんなときに、私たちを支えてくれるのは「言葉」だ。書籍『特装版 人生を変える言葉2064』(西東社編集部:編/西東社)は、古今東西の小説や漫画、手紙、発言など幅広いジャンルから、心に深く刺さるような2064もの言葉を集めた1冊。ほんのわずかな一言でも「何かしら生きる指針となる言葉が見つかることを願ってやみません」とする読者への思いは、私たちの背中をそっと押してくれる。

1日1つ(+α)の言葉を消化していく

 しかし、収録数がなぜ2064なのかと、ひょっとしたら疑問が浮かぶ人もいるかもしれない。

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 じつは、本書のコンセプトにあるのは「1日に1つずつ、胸に刺さる言葉のシャワー」を浴び続けるということ。元々、シリーズ書として過去に出版されていた『必ず出会える! 人生を変える言葉2000』(西東社)は「1年365日×5年=1825」を消化することを目的にしていたものの、それでは収録数が「中途半端」だからという気配りから2000になった経緯がある。

 そのベストセラーを受けて、新たな言葉を収録するなどして2064もの言葉を集めたのが本書。頭から1つずつ消化していくのもよし。お気に入りの言葉を、好きなように見つけてみるのもアリだ。

言葉のどれもがすんなりと染み渡ってくる

 5年間(+α)分の言葉を収録した本書は、章立ても年数と同じく5つに分けられている。内容はいたってシンプルで、その理由は、言葉によっては簡単な解説が付けられているのみで、淡々と紹介されているから。だからこそ、すんなりとそれぞれの言葉が染み込んでくる印象もある。

 例えば、元プロテニスプレイヤー・松岡修造氏の著書『松岡修造の人生を強く生きる83の言葉』(アスコム)から引用された言葉は、まるで目の前で叱咤激励されているかのように、私たちの気持ちを芯から熱くさせてくれる。

何言ってんだよ! その崖っぷちが最高のチャンスなんだぜ!
自分のすべての力をだせるんだから! 崖っぷちありがとう!! 最高だ!!

 一方で、教科書でもみかけた文豪のひとりである詩人・島崎藤村の言葉を受けると、明日への希望が自然とわいてくる。

この世にあるもので、一つとして
過ぎ去らないものは無い、
せめてその中で、誠を残したい。

 さらに、海外からも。ビートルズのメンバーであったジョン・レノンは、生きる意味を問いかける。

君は今、
生きているのか? 死んでいるのか?
その中間は許されない。

 いくつもある言葉の意味をどう受け止めるかは、私たちに委ねられている。しかしひとつだけいえるのは、必ずや記憶のどこかに残るということ。実際に、シリーズ前作である『必ず出会える! 人生を変える言葉2000』をローソンで見かけ手に取ったという読者からは、「もう少し生きてみようという希望が湧きました」というFAXが編集部に届いたという。

 疲れ切った心を、ほんのわずかでも癒やしてくれるはずだ。

文=カネコシュウヘイ