毎日がハッピーエンド。ほのぼの系新婚夫婦が噛みしめる「当たり前じゃない幸せ」

恋愛・結婚

公開日:2020/5/29

『まいにちハッピーエンド』(mumo./日本文芸社)

 一緒にいる年月が長くなるとパートナーの粗が気になり、苛立ってしまうことも多いもの。しかし、少し視点を変えて平凡な日常を見直すと、今まで気づかなかった幸せにときめくことができるかもしれません。『まいにちハッピーエンド』(mumo./日本文芸社)は、そんな発見を与えてくれる糖度高めのイラストエッセイ。

 本作は、インスタグラム上で日本中の女子をときめかせているむも(@mumo.y)さんのイラストエッセイを書籍化したもの。フォロワー数20万人超えのむもさんがほんわかとしたタッチで描くのは、年下の旦那さん・けんくんとの激甘な新婚生活。ここでしか見られない描き下ろし作品も交えながら、自分を甘やかし、溺愛する旦那さんのかわいさやなにげない日常の大切さを伝えています。

ハッピースタートした新婚生活に胸キュン必至!

 入籍翌日、指輪を見つめ「ハッピーエンドだねえ」というむもさんに対し、「ハッピースタートだよ?」と返す旦那さん。プロローグに描かれたこの微笑ましいやりとりを見るだけで、本作の甘くて優しい世界観が分かり、思わずキュンとしてしまいます。羨ましくなるのになぜか嫉妬心は湧かず、むしろもっとラブラブでい続けてほしいと応援したくなる。そんな不思議な魅力が本作にはあります。

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 旦那さんは、むもさんのことが大好き。日頃から「むも好き」とストレートな愛情表現をしたり、むもさんが大切にしているくまのぬいぐるみに嫉妬したりするなど、かわいらしい行動をたくさん披露。対してむもさんは時々意地悪もしながら、甘い日常を満喫しています。

 日々の中で見せる旦那さんの熱烈な愛情表現には、言葉以上の愛が。例えば、むもさんがすねてほっぺを膨らませてしまった時、旦那さんは「ぷくとしてるむもカワイイ」とニコニコ。それを聞いたむもさんがほっぺをすぼめると、「カワイイって思われたくないの?!」と問いかけ、再びほっぺを膨らませたむもさんをかわいいと褒めちぎります。

 こうした対応ができるのは、むもさんが何をしたら喜ぶのかを日頃からちゃんと見ているから。雨の日も曇りの日もある長い人生を、こんな気分転換法を知っている人と一緒にいられたら、オリジナルな晴れ間が見つけられそうな気がします。

 そうやって旦那さんが深い愛情を注ぎ続けてくれたから、むもさんは長年抱えてきたコンプレックスを許せたそう。

“私はずっと背が小さくて、お洋服を選ぶのも、つり革に掴まるのも、クソつまらんチビイジリに対応するのも、って言っても小さい私可愛い♡って思ってるんでしょ? って思われるのも、全部全部クソめんどくせーって思ってたけど、旦那さんの腕にすっぽりおさまっている時だけはこのサイズでよかったなと思う。”

 中身のある愛でむもさんの心も体も優しく包み込む旦那さんと、イタズラしながらも旦那さんを優しく思いやるむもさん。2人のかわいい日常を知ると、「幸せな結婚」の意味を改めて考えたくなります。

「幸せな結婚」のイメージは人によってさまざま。幸せの基準がないから私たちはお金や子どもなど、目に見えやすい形で幸せな結婚を掴もうと必死になってしまうこともあります。けれど、本当の幸せはもっとシンプルなものなのかもしれません。

 旅行時、別々に持ち寄っていたスーツケースがひとつになったことや郵便物の宛名が連名になったこと。むもさん夫婦はそんなささやかな変化に喜びを感じ、幸せを噛みしめます。そうした変化は結婚生活が日常になっていくと、当たり前のことのように思えてしまうけれど、数多くの奇跡と愛があってこそ、成り立っているもの。大好きな相手と何でもない日常を共に生きられる。それこそが「幸せな結婚」なのかもしれません。

“1日の終わりに君に「おやすみ」って言えたら、どんな日だってハッピーエンド。”

 帯のこの一文に胸がドキっとしたのはときめいたからだけではなく、欲張りながら幸せを求めている自分に気づいたから。幸せのおすそ分けをしてくれる2人から、私たちは幸せの見つけ方と人を愛する楽しさを学ぶのです。

文=古川諭香