ワタシ以外みんなバカ――無能な同僚たちに苛立ち、不倫相手との情事で発散する「デキる女」の運命は…?

マンガ

更新日:2020/6/22

『ワタシ以外みんなバカ』(かたおかみさお、egumi/DPNブックス)

 私は他の人よりも、デキる人――。そんな自己認識は自信に繋がるが、度が過ぎると人生の破綻を招いてしまうことも…。『ワタシ以外みんなバカ』(かたおかみさお、egumi/DPNブックス)は職場での振る舞い方や人との付き合い方を改めて考えさせられるマンガ。読後は、自分という人間の嫌な部分とも向き合いたくなる。

自分が大好きな「デキる女」の未来にはどんな代償が…?

 主人公の和代は、仕事がバリバリとこなせる「デキる女」。自分に絶対的な自信を持つ、自分大好き人間でもある。だからこそ、他人の容姿や仕事の仕方を蔑む。周囲はそんな和代のことを「勘違い女」「厄介な人」と思っているが、本人は気づいていない。

 そんな和代自身は、部下の尻ぬぐいや新入り派遣社員の世話などをしなければならない“デキる女としての日々”にストレスを感じていた。どいつもこいつもクズばかり――。そう思い、睨みをきかせつつ仕事を行っていたが、ある日、プロジェクトから外され、経理部に飛ばされた。

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 どうしてもプロジェクトに参加したい和代は社長に直談判。すると、1カ月の間に経理で1千万円コストを削減することを条件にされた。経理畑ではない自分に、どうしたら1千万円ものコスト削減ができるのか…。そんなことを考えていた時、経理の案件を見ていた和代はあるシステム移行が去年から進行していないことに気づく。

 聞けば、そのシステムは前任者が異動になって以来、担当者がつかず、放置されているのだそう。そして、新システムが導入されれば大幅な工数削減ができ、1千万円ものコストが削減されることを耳にする。

 1千万円の削減…これだ! 社長から与えられた条件をクリアする術を見つけた和代は、今後自分が取り仕切り、新システムの導入プロジェクトを進めていくと宣言。同僚たちに、自分の指示に従うよう言い放つ。

 横暴な態度を見せ続ける和代に対し周囲は困惑するが、何も言えない。しかし、同僚の黒部は言葉こそ発しないものの、仕事の早さで和代を驚かせる。こいつは一体なんなの…。不愛想で地味だけれど、予想以上にデキる女な黒部。その存在は和代の中で大きくなっていく。

 一方、和代が秘密のアバンチュールを楽しんだ既婚者の袴田は和代と寝たことを後悔していた。あんな女に手を出すなんて、一生の不覚。そう思い、口直しをするかのように他の不倫相手の肉体を貪りつくす。危険な快楽に身をゆだね、周囲をとことん無能呼ばわりする和代。彼女の未来には、どんな「代償」が待ち受けているのだろうか。

 仕事はデキるが、人としてはデキていない和代は、私たちにとって反面教師となる存在。天狗になりそうな時にこそ本作を読み、いつの間にか見失ってしまった“大切な気持ち”を思い出してみてほしい。あなたは、第2の和代になってはいないだろうか。

文=古川諭香