日本で一番小学生が宿題を頑張っている県は? 統計から読み解く47都道府県ランキング

暮らし

更新日:2020/8/24

統計から読み解く 47都道府県ランキング 消費・子供・スポーツ編
『統計から読み解く 47都道府県ランキング 消費・子供・スポーツ編』(久保哲朗/日東書院本社)

 日本には47の都道府県があり、それぞれの地域に特色がある。なんとなく自分の住む街の特徴や良さを理解していても、それが他の地域と比べてどのように違うのかは、日常生活では分かりにくい。

『統計から読み解く 47都道府県ランキング 消費・子供・スポーツ編』(久保哲朗/日東書院本社)は、そんな47都道府県をテーマ別にランキング化した1冊だ。本書をパラパラめくると、大多数の都道府県が「ナンバー1」と「ワースト1」の両方を獲得していることが把握できる。日本という小さな島国であっても、47都道府県はそれぞれ独自に発展を遂げているようだ。なんだかちょっぴり誇らしい。

 本稿では、本書のランキング結果をちょっとだけご紹介するので、ぜひ読者の住む街の素晴らしさを誇る時間にしてほしい。

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全国で一番女性が家事を頑張る地域は?

 共働きが当たり前の時代になり、家庭内での家事の役割分担が重要視されている。ごく一般的に日本人男性は家事を積極的に行わない傾向にあるので、女性に負担がいきがちだ。

 ならば都道府県単位でみたとき、どの地域の女性が一番家事を頑張っているのだろうか。その答えは…奈良県だ。平均して1日に約172分、つまり1日3時間弱も家事労働に費やしている。次いで2位は、三重県で168分。3位は、和歌山県で164分。うーむ…関西勢の女性が家事に奮闘する様子がうかがえる。

 一方、家事にかける時間が一番短い地域は福島県だ。その時間、平均して139分。1位の奈良県と比べると、約33分短い。次いでワースト2位は、山形県で約141分。3位は、東京都で約143分。

 本書によれば、専業主婦が多い地域ほど、女性の家事労働時間が長くなる傾向にあり、反対に共働き率が高くなるほど、短くなる傾向にあるという。

 また女性の家事労働時間が長いほど、「中学生通塾率」や「1世帯当たり貯蓄額」も応じて高くなる傾向にあるので、奈良県や三重県は裕福な家庭が多いとも言えるようだが…。

日本で一番小学生が宿題を頑張っている地域は?

 今年はコロナの影響で学校の夏休みが全国的に短い。それでも大多数の学校で課される風物詩が、夏休みの宿題だ。大人になると懐かしい思い出である。

 夏休み前半であらかたを片づける子ども、宿題にまったく手をつけず最終日に大泣きする子ども、宿題を頑張ったけど家に置き忘れて登校日の教室で大慌てする子ども。子どもの性格によって宿題の進め方はまるで違う。ならば都道府県単位でみると、どうなるだろうか。

「小学生宿題実行率ランキング」同率第1位は…埼玉県と秋田県だ。なんと97.9%の子どもが宿題に手をつけている。ふむ、埼玉県と秋田県の将来は有望ですな。次いで3位は、静岡県で97.7%。

 一方、全国で一番宿題に手をつけていない地域は…沖縄県だ。それでも94.6%なので、日本の子どもの勤勉さが誇らしい。次いで2位は、北海道で95%。3位は、意外にも東京で95.9%。

 本書によると、小学生自己肯定率、小学生家庭内会話率、小学生学校快適率が高い地域ほど、良好な家庭環境や学校環境を持つ傾向にあり、宿題の実行率も上がるようだ。もしわが子が宿題に手をつけなくて困っていたら、まずは家庭の環境を見直すところから始めてみよう。

地域の食文化が浮かび上がる意外なランキング

 地域を語るには、やはり食文化は避けられない。郷土料理ほど地域を表すものはないからだ。全国各所に様々な有名料理があるが、その裏で地域の人々が積極的に食べる食材もある。本書を読むとそのランキングが意外だった。

 まず精進料理や懐石料理が有名な京都。この地域では…なんとパンとコーヒーの消費量が全国1位なのだ。京都こそ和食文化の総本山のようなイメージだが、実はパンとコーヒーが大好きで、さらにワイン消費量が第4位、紅茶消費量が第6位。表向きは「日本の和は京都にありますえ」なんて言っておきながら、家の中では洋食をひっそり楽しんでいるのである。さすが京都人、いやらしいわぁ~。

 日本人のアイデンティティである緑茶。その消費量全国1位は、言わずもがな静岡県だ。1世帯当たりの年間緑茶消費量は約1520gであり、ワースト1位の沖縄県民より3倍以上も愛飲している。ところがその裏で、静岡県民は「炭酸飲料水支出額」ワースト1位、「コーヒー消費量」ワースト1位を獲得。なるほど、静岡県民はスーパーに並ぶコーヒーや炭酸飲料には目もくれず、緑茶をわしづかみにしてガブ飲みしているようだ。

 さて今年はサンマの不漁が叫ばれている。サンマが獲れなくて一番困る地域はどこだろうか。それは1世帯当たり年間約3キロ消費する青森県だ。次いで秋田県、宮城県と、サンマの漁場が多い東北を中心に消費量が増える。

 そんな青森県では、意外な食品も第1位を獲得している。インスタントラーメンだ。雪国では保存食が重宝されるため、長期保存が可能なうえに、お湯を入れるだけで美味しくできあがるインスタントラーメンは、青森県民の胃袋をがっちりつかんだらしい。もしかして「インスタント“サンマ”ラーメン」を発売すれば青森県で爆売れの可能性が…?

 このように本書は、47都道府県の地域性を、ランキング形式で浮かび上がらせる1冊だ。なかなか興味深いデータが並ぶので、ずっとランキングを眺めていられる。学校の社会科レポート素材にも役立つので、夏休みの自由研究のテーマにしてもいいだろう。

文=いのうえゆきひろ