病気ではないけど、なぜか調子が良くない…女性に多い「未病」の3つの原因とは?

健康・美容

公開日:2020/9/23

女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典
『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(大久保愛/KADOKAWA)

 疲れやすい、ニキビが出る、顔や足がむくむ、便秘がち、生理前に太りやすい…などなど。病院では原因が特定されづらい「なんとなくの不調」に悩まされていませんか? 年間2000人以上の悩みに応えてきた漢方カウンセラーの大久保愛先生が、不調に悩むあなたに「食薬」のエッセンスをご紹介します。食薬とは、「漢方×栄養学×腸活」の考え方をもとにした食事療法です。ぜひ食薬メソッドで体調を整えてみてください。

※本稿は大久保 愛著『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)を再編集したものです。

なんとなく不調=「未病」の原因

 ダルさが抜けなかったり、感情がコントロールできなかったり、やる気が急になくなったり…ということは、あなたも感じたことがあるだろう。

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 でも、その状態がずっと続くと、「私って、大丈夫なのかな?」と心配になるはず。

 ただ、病院に行っても、検査で異常が見つからなければ、特に対策をとれないと思う。西洋医学では、病名がつかないと治療ができないことがほとんどだ。

 漢方では、このような状態を「未病」と呼ぶ。

 漢方は経験則をもとに、主観的な情報や、見てわかる感覚的な情報も診断材料とするため、「未病」の治療を得意としている。

 そのため、病気になる前の不調でも、分析して対策を立てることができるのだ。

 そんな「未病」を招く原因を大きく分けると、次の3つが考えられる。

①胃腸の状態が良くない
食べ物をうまく消化吸収することができなければ、「気(き)・血(けつ)・水(すい)」をつくることができないので、健康のスタート地点にも立つことができない。

②体に必要な「気・血・水」が不足している
栄養の吸収や食事の内容に問題があると、「気・血・水」が不足する。
体を構築するものが足りないので、血液、ホルモン、神経伝達物質、筋肉、皮膚などに支障が出てくる。また、各臓器の動きも悪くなっていく。

③「気・血・水」の巡りが悪い
「気・血・水」が何らかの原因で体の隅々まで巡ることができないと、滞った場所に痛みや張りを感じたり、栄養やホルモンや酸素が適切に働かなかったり、老廃物などがきちんと排泄されなかったりすることで不調を感じる。

 つまり、未病を招く「なんとなく不調」を取り除くには「気・血・水」を整える必要があるのだ。

 特に、生理がある女性の場合は、血が不足しやすかったり、ホルモンの関係で生理前に気が滞ったりすることで、イライラやむくみなどを感じやすくなっている。

 女性はこうした変化を毎月繰り返すので、未病の原因が頻繁に生まれる。

 不調は、その都度ケアしていかないと、毎月不調が蓄積され、年齢とともに悪化していくことになる。

女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典

女性の体質は「7年ごと」に変化する

「女性は7の倍数で変化する」

 およそ2000年前に編纂された漢方の古典である『黄帝内経(こうていだいけい)』には、女性の年齢の重ね方について、このように記されている。

 28歳で女性ホルモンの分泌のピークを迎え、35歳に卵巣機能が低下し始め、42歳に心身ともに不調を抱えやすくなり、49歳で閉経と考えられてきた。

 西洋医学でも、女性ホルモンの分泌が変化するのが、だいたい7の倍数の年齢に当たるということになる。

 女性の一生の中で、女性ホルモンの分泌量がピークを迎えるのは28歳。
 そのため、28歳くらいまでは、少々無理をしても肌荒れはしないし、増えた体重も元に戻るし、つらいことがあっても気合いで乗り越えられたはず。

 しかし、28歳を過ぎたら、そうはいかない。
 体の異変や心の不調、たるんだ体形などは、見て見ぬふりをしてはいけないのだ。

 特に、漢方でいわれる五臓のうち、年齢とともに大きく変化するのが、ホルモン分泌や老化に関係する「腎(じん)」。

 特に、更年期に当たる40~50代は、「腎」の働きの低下を顕著に感じやすい。これを「腎精不足(じんせいふそく)」という。

「腎精不足」によって、白髪や抜け毛、性機能の低下、頻尿、物忘れ、関節痛、耳鳴りなどの症状が現れやすくなる。

 もちろん、更年期前の女性でも、睡眠不足や環境の変化、プレッシャーなどで、女性ホルモンの乱れを感じる人は多いだろう。

 女性ホルモンの分泌は年齢によって変化するが、自律神経が乱れて「腎」の働きが低下することでも、バランスが乱れてしまう。

女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典

「腎」を整える生命力の強い食材をとり入れて

 そこで、「腎」の働きを強化し、不足しがちな「血」を補う食材とレシピを紹介しよう。

・おすすめ食材①黒豆
大豆の一種なので、タンパク質が非常に多い食材。「血」の材料となる鉄や葉酸、ビタミンB群が豊富で、「腎」を支えてホルモンバランスを整えるイソフラボンやマグネシウムなども多く含まれる。黒い色素成分はアントシアニン。強い抗酸化作用があり、老化防止や美肌にも役立つ。

・おすすめ食材②黒ゴマ
成分のセサミンは女性ホルモンと似た働きをするため、「腎」の働きを支える。ビタミンEや不飽和脂肪酸も含まれるため、血行を促進し、手足の冷えの緩和にもつながる。鉄分や亜鉛などのミネラルも豊富。黒豆と同様にアントシアニンが含まれ、抗酸化作用がある。

・おすすめレシピ 黒豆黒ゴマご飯
米2合に対して、2合分の水を準備する。そこに乾燥黒豆1/2カップ、酒、しょうゆを加えて全体を混ぜ、炊飯器で炊く。炊き上がったら黒ゴマをたっぷりかけて出来上がり。

 実際に作ってみると、黒豆の歯ごたえがよく噛むことにつながり、脳の血流量も増え、「腎」の働きを元気づける。ただ固すぎる場合は、炊く前に一晩水に漬けておくと柔らかくなる。
 ぜひお試しを。