「その悩みにも意味はある」悩んでさらに自己嫌悪になる前に、適切な悩み方を身につける術

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更新日:2020/10/6

前向きに悩む力
『前向きに悩む力』(午堂登紀雄/日本実業出版社)

「性格」「キャリア」「人間関係」「お金」…などなど、人の抱える悩みは尽きない。「悩み」というとネガティブなイメージがあるが、実は「悩み」には「悪い悩み方」と「いい悩み方」がある。「ポジティブないい悩み方」をすることで心を強くし、日々を楽しくすることができる。

『前向きに悩む力』(午堂登紀雄/日本実業出版社)は、思考が悲観的にグルグル回るだけの悪い悩み方をやめ、解決方法を生み出す方法を教えてくれる1冊だ。ただ悩むだけでは心は強くならないが、「悩みは自分の成長欲求や向上欲求から来ている」ということを知り、それを方向転換できればラクに生きることができる。

前向きに悩む力 p.24

前向きに悩む力 p.25

 悩みはさまざまあれど、環境や周りの人々など、自分ひとりの力では変えられないこともあるだろう。そんな自分ではどうしようもできない変化については「その環境下でどうすれば楽しめるか」というアイデア出しが鍵となる。悩みに対して、自分が快適に過ごせる工夫をする。その「スイッチ」ができるかどうかが、成長への道である。

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 たとえば、悩みの解決に向かって「調べる」「知識を増やす」という行為は有効だ。著者は「知れば知るほど、自分の外側には広大な世界が広がっていて、解決方法があることがわかる」という。「自分には解決できない」「ムリに決まっている」という思い込みを捨てて、悩みを「自分の見える世界を広げていくチャンス」と考えよう。

 また、悩みが発生したときには「スルーする」というスキルも必要である。「これは自分の命に関わるほど重要なものだろうか」「本当に考え続けなければならない問題なのか?」と自問したり、他人に対しても「この人の行動にここまでイライラしてエネルギーを割くほどだろうか?」と考えたりしてみる。世の中には「考えても仕方ない」ということは意外とあるものだ。

前向きに悩む力 p.150

前向きに悩む力 p.151

 人間関係の悩みの理由には「自分がいい人を演じている」という可能性がある。いい人を演じていると、他人の評価を気にして疲れてしまう。「人と自分は違う」ということがわかっていればラクに過ごすことができる。そのために、嫌な人・我慢を強いられる人とは物理的に距離を置くという手段がある。どうしてもその人と関わる必要がある場合には、気のない返事をしたり、相手が喋っているときに「今日の晩ご飯」について考えたりなどという「うわのそら状態」を作ると良い。

 著者は読者に対して「悩みにも意味はある」とアドバイスする。悩みには「向上心」「成長欲求」という意味があり、それを通して精神は成熟していくそうだ。本書が紹介する「適切に悩む力」を身につけることで、視野を広くしたり、あらたな好奇心を得たりすることができる。「悩み」を自分自身でどう管理していくかで、これから先の人生の充実度は変わっていくだろう。

文=ジョセート