その言い方は失礼です! 無自覚に「嫌味な人」「無神経な人」と思われないための言葉選び

暮らし

公開日:2020/11/11

『その言い方は「失礼」です!』(吉原珠央/幻冬舎)

 最近、ある知り合いから「意外に毒舌だよね」と言われ、驚いた。よくよく聞いてみると、自分としてはその場を盛り上げようと思って口にした言葉が彼女にとっては棘があるように聞こえ、それ以来、筆者のことを「ハッキリものを言う怖い人」だと思っていたようだった。私はどちらかと言えば自己主張ができないタイプ…そう思っていたから、知人の指摘は衝撃的であり、同時に「ものの言い方」の難しさを痛感した。
 
 だから『その言い方は「失礼」です!』(吉原珠央/幻冬舎)を見た時、これは読まなければ! という使命感が。本書には無自覚に人を傷つけてしまいやすい「失礼な言い方」が多数収録されており、普段の自分の言葉づかいを見つめなおすことができる。

「やっぱり」の多用で損してない?

 なぜか人から頑固だと思われてしまう…それが長年悩みの種だった。決して、強いもの言いではないのに親や友人、恋人から「こだわりが強い人」と言われるたび、どうしてそんな印象を与えてしまっているのか不思議でたまらなかったのだ。

 だが、本書を読んでその理由が分かった。どうやら、自分は「やっぱり」という言葉を多用しすぎていたらしい。

「そんなの当然」「当たり前だ」と思うと、私たちは「やっぱり」「やはり」という言葉を使ってしまいやすい。この言葉は「やっぱり○○が一番です」など、一番伝えたいことを強調したい時には分かりやすくて効果的だ。

 しかし、多用してしまうと“最も”伝えたいことがぼやけてしまい、内容よりも話し手のこだわりばかりが印象として残りやすくなってしまうそう。そして、相手に「頑固な人」「こだわりが強い人」と認識されてしまうのだ。

 こう指摘されると、無意識のうちにイライラさせてしまった人たちに謝りたくなるのと同時に、自分が思っている以上に「ものの言い方」には本性や本音が現れてしまうのだと気づかされた。

 人と気持ちのいい関係を保ちたい時、私たちは「どんな会話をしようか」と内容を先に考えてしまいやすいが、重要なのは、どんな言葉を選ぶかなのかもしれない。そのためには小手先のテクニックではなく、もっと深い部分で普段の自分を見つめなおすことが大切。言葉づかいを振り返ることは目の前にいる相手と心を通い合わせる第一歩になる。

 本書には他にも、やる気が上がる「副詞」の使い方や「暇だから」という誘いがNGである理由なども詳しく解説されているので、こちらもぜひチェックしてみてほしい。

愚痴を言う相手にはユーモアを返そう

 失礼なもの言いをせず、穏やかな毎日を送りたい。そう思っていても他人から愚痴を聞かされると、心がザワついたり、冷たい言葉で突き放したくなったりすることもある。そんな時の対処法として本書がすすめるのは、愚痴にユーモアを返すこと。

 極端に悪意があるとか常識的に逸脱しているなどの場合はもちろん付き合う必要はないが、つい誰かに言いたくなるような「軽い愚痴」を言われた時は、笑いに変えたり、おおらかに反応してみたりすると、互いに楽になれる。

 例えば、会合の長さを愚痴る人には説教や正論ではなく、「作り笑顔はキープしよう」などと返して笑顔を引き出したり、「時間は大丈夫?」と相手を気遣ったりするような対応がおすすめ。こうすれば、場の空気が和み、大切な人をより元気にもできる。誰も傷つけず、自分に対しても「嫌な言い方しちゃったな…」と罪悪感を抱かなくていいこの対処法は、憂鬱な愚痴タイムを切り抜ける秘策として覚えておきたい。

 著者の吉原さんはこうした日々の気配りを「投資」と表現。コミュニケーションに投資をし、目の前の人を「仕事相手」などと一括りにせず、個々の相手として敬っていこうと語る。

 スマートフォンひとつあれば、世界中の人と簡単に繋がれる現代では、自分の感情を優先した一方的なコミュニケーションが横行しているように思う。そんな時代の中で生きているからこそ、コミュニケーションにしっかりと投資をし、人間力を高めていきたい。本当の礼儀正しさは誰かをやさしく想う気持ちがあってこそ、身につくはずだ。

文=古川諭香

この記事で紹介した書籍ほか

その言い方は「失礼」です! (幻冬舎新書)

著:
出版社:
幻冬舎
発売日:
ISBN:
9784344986039