お前も意思がない蝋人形のように侵犯術で奴隷化してやろうか!

エンターブレイン

2012/8/9

イムリ 1巻

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : KADOKAWA / エンターブレイン
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:三宅乱丈 価格:463円

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タイトルの予備知識なしで手軽に購入できるのも、電子書籍の功罪であったりします。「読んでみたい」と思ったら数回のタップでデータをダウンロード完了。さて、表紙買いの今回は当たりかハズレか。

中世貴族のような服装の表紙に、「ベルばら」のような話かと決め込んでいたのですが。冒頭の数ページを読んで出てくる言葉は、「星を凍結」「4千年の歴史」「戦争の記憶を風化」「星への帰還」など、漂いまくるハードSF臭。かと思いきや、そのうち「呪師」「彩輪」「侵犯術」など、次から次に出てくるファンタジックな用語。先にいっておくと、本作は専門用語でガチガチに設定が固められたファンタジーSFなので、巻末の「用語解説」から目を通すとよさそうです。

ここで、本作の簡単な設定と内容を。
―かつて惑星「ルーン」に住んでいた民族「カーマ」は、民族「イムリ」と戦争の末にルーンを凍結させ、隣星「マージ」に移住。カーマは民族「イコル」を最下層の奴隷民とする階級社会を築き、じつに4000年。ルーンの氷河期も終焉が見え、カーマは母星へと帰還し始めている。カーマの階級社会は、他者を奴隷化できる「侵犯術」を用いることで強固に維持されている。―

2009年に第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で優秀賞を受賞していたり、ダ・ヴィンチで「絶対はずさない!プラチナ本」に選出されていたりと、すでに各メディアで絶賛されており、SFファンも納得の壮大さと重厚感、シリアスさが光る本格派作品なわけですが、作者・三宅乱丈の代表作『ぶっせん』は破天荒なギャグマンガで、それを知っているファンは何でも描き分けられる器用さに脱帽なのだとか。それ以上に、女性マンガ家であることがじつはそれほど知られていなかったり。確かに、骨太の内容と絵柄から、男性作家だと思って1巻を読み切りました。随所に出てくる背筋が凍るような残酷描写や冷酷描写は、女性作家だから表現できるものなのかなぁ。こじつけか。

人の心を支配したり、奴隷化したりすることが、死よりも恐ろしいと思わせてくれる、近年でも稀に見る傑作に出会わせてくれた電子書店に感謝。


第1話の扉。まるでこの雰囲気、ベルばら

中世貴族のような服装の主人公・デュルク

デュルクがイコルに「侵犯術」の「促迫(そくはく)」

精神を操り、意思を奪う。対象の表情が失われる。奴隷化こわっ

巻末に「用語解説」がある。先に頭に入れてから本編を読むのをお勧めします