パラレルワールドをつなぐ宿命と愛……韓国ドラマ『ザ・キング:永遠の君主』の巨大なスケールと見事なストーリー展開は必見!

エンタメ

公開日:2021/5/1

ザ・キング: 永遠の君主
Netflixオリジナルシリーズ『ザ・キング: 永遠の君主』独占配信中

 現実の大韓民国と、君主制が続く「大韓帝国」。そのふたつのパラレルな世界を行き来しながら、女性刑事と大韓帝国皇帝のサスペンスフルなロマンスを描くファンタジー、それが『ザ・キング:永遠の君主』だ。2020年に放送されたこの作品は、『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』をはじめとした作品でヒットメーカーとしての地位を揺るぎないものにしているキム・ウンスク氏が脚本を担当。多数の伏線がちりばめられた複雑なストーリーライン、そして恋愛劇のみならず政治劇にミステリー、時代劇にSFの要素まで取り込んだ重層的な作品世界は、数話観ただけではちょっと飲み込めないくらいの重さと巨大さだ。

 実際、最初の数話を観ただけではなかなか作品にどっぷり浸かることは難しい、ハードなドラマではあるのだが、あるタイミングから突然登場人物に感情移入できて抜け出せなくなる。そこまでがしんどい、と言うのは韓国ドラマあるあるだと思っているが、この作品は情報量が多いぶん、すっと作品に入れたときの快感もひとしおである。しかもそれだけではない。さすがキム・ウンスクというべきか、最終話に向かってたくさんの伏線がどんどん回収されていくストーリーテリングは見事の一言。シリーズを通して観終わってみれば、とんでもない名作を観た! と満足感に浸れるドラマなのである。

ザ・キング: 永遠の君主
Netflixオリジナルシリーズ『ザ・キング: 永遠の君主』独占配信中

 メインキャストである大韓帝国第3代皇帝イ・ゴンを演じるのはイ・ミンホ。『花より男子〜Boys Over Flowers』や映画『シティーハンター in Seoul』といった日本原作作品への出演でも知られる彼にとって、このドラマは兵役から復帰後の初作品となった。相手役となる韓国の刑事チョン・テウルを演じるのは『トッケビ』のヒロイン役で大ブームを巻き起こしたキム・ゴウンだ。異なる世界で生きるふたりの出会いと恋を中心に、それぞれの宿命が交錯し、複雑なドラマが展開していく。人気俳優ふたりのカップリングということで画面は華やかそのもの。重要な役回りを担うウ・ドファン、第1話でイ・ゴンの父親を演じたクォン・ユルをはじめ脇を固めるキャストも豪華だ。

advertisement
ザ・キング: 永遠の君主
Netflixオリジナルシリーズ『ザ・キング: 永遠の君主』独占配信中

 そして何よりこの『ザ・キング』のおもしろさは、背景のまったく異なるパラレルワールドが並行して描かれるということに尽きる。かたやリアルな韓国の、言ってしまえばよく見る風景と人々の生活が描かれる一方、イ・ゴンが皇帝として君臨する大韓帝国ではどこか時代がかった文化が残っていて、まるで時代劇のよう。人々の会話も、テウルの世界の人々がモダンな韓国ドラマらしい軽妙なやりとりを繰り広げるのに対し、ゴンの世界ではどこかものものしい。そんなふたつの世界のコントラストを象徴するのが、第1話のラストでのゴンとテウルの出会いのシーンだろう。白馬に乗って(!)韓国・ソウルに迷い込んできたゴンをテウルがパトカーで追跡、景福宮をバックにふたりは相対し、ずっと探していた人に会えたといきなりテウルを抱きしめるゴンを、テウルは道路交通法違反で逮捕するのである(笑)。

ザ・キング: 永遠の君主
Netflixオリジナルシリーズ『ザ・キング: 永遠の君主』独占配信中

 タイムトラベルものやパラレルワールドものは今までにもたくさんあったが、政治制度は違うとはいえ同じように進歩的な文明を持っているため共通理解できる部分も多くある、というズレと重なりが絶妙で、そのズレと重なりがコメディパートを含めドラマを生み出して動かしていく。両方の世界には瓜二つの人物が生きていて、そのキャラクターがまったく正反対で描かれていたりするのもおもしろい。大韓帝国の巨大な宮殿、雄大に映し出される自然などにも目を奪われる。物語の結末もそのパラレルワールドという設定を最大限に活かしたもので、このドラマのスケールの大きさを物語るものになっている。ぜひ最後までじっくり観てほしい作品だ。

文=小川智宏

あわせて読みたい