「お金って何?」上手なお金との付き合い方や身近な経済を分かりやすく指南!

暮らし

公開日:2021/5/25

14歳の自分に伝えたい「お金の話」
『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』(藤野英人/マガジンハウス)

“経済は大人だけのものじゃない。子ども、もっと言えば、今この瞬間にオギャーと生まれた赤ちゃんにだって深く関わるものなのです”

 お金や経済は、たとえまだ働いていなくても生活と密接に結びついている。私たちは、暮らしのさまざまなものを「消費」することで、お金の流れを生み出す張本人となっているからだ。

『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』(藤野英人/マガジンハウス)は、お金や経済の基礎を教えてくれる本である。著者である藤野英人さんは投資信託を運用するファンドマネージャー、投資家である。

“僕たちはこの地球上で生きているだけで、大いに経済に貢献しています”

“君が生きているおかげで、存在している会社はたくさんあると思っていい”

 そう言う藤野さんは、家や学校でお金について教わる機会がほとんどない現状を踏まえて本書を著し、「君」とやさしく語りかける文体を採用している。読者が自分事として読み進めやすくなっている。

advertisement

 第1章では、ズバリ「お金とは何か?」を考える。

 お金は社会を発展させてきた。“人と人が価値を交換する、あらゆる活動の媒介となる”機能が、お金にはある。“材料費のような目に見えるコストだけでなく、労力やアイデアといった“目に見えないコスト”にも値付けをして、価値の交換をどんどん可能にしていく”ことで、人々の活動を広げていく。

 しかしお金はもちろん万能ではない。お金で買えないものは無限にある。例えば、「空気、太陽、海」。そして「愛情や友情、信頼、尊敬」。ものが溢れている現代の状況と、ずっと変わらない“プライスレス”なものを観察し、ものの価格を見定める目が大切になる。そして、貯金だけがお金を大切にする方法ではないことを知った上で自己決定できることの価値が見えてくる。

 お金について考えるということは、仕事や人生を考えることに直結している。第2章以降ではお金の使い方や、就職や投資での会社の選び方、稼ぎ方、働き方の話、さらには幸福について指南している。

 無論、14歳に限らず、大人でも学びになる本だ。金融庁のレポートで、私たちの老後資金が2000万円足りないと指摘された衝撃は記憶に新しい。いわゆる「老後2000万円問題」によって、投資や資産運用への注目が高まっている。『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)でも知られる藤野さんが14歳でも伝わるようわかりやすく書いた本書は、全世代におすすめしたい。

文=遠藤光太