目指すは住みたい町ナンバーワン! 変わりゆく「相鉄」のプロジェクトに注目!

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公開日:2021/6/8

相鉄はなぜかっこよくなったのか
『相鉄はなぜかっこよくなったのか』(鼠入昌史/交通新聞社)

 新宿駅の埼京線のホームで見かける濃紺一色のスタイリッシュな電車をご存じだろうか? 今ではすっかり珍しくなった全面塗装の車両は、100年の歴史と新しい取り組みによって誕生した、相鉄(相模鉄道)の12000系電車。このネイビーブルーのとなった理由を解説するのが『相鉄はなぜかっこよくなったのか』(鼠入昌史/交通新聞社)だ。

 ここで知らない方のために、相鉄のプロフィールを。神奈川県の横浜と海老名を結ぶ本線と、二俣川からの支線・いずみ野線が基本。2019年に相鉄・JR直通線が開通し、埼京線に乗り入れて渋谷や新宿などへとつながっている。

 どんな路線かというと、まずは最もメジャーな駅・横浜。一日の平均乗車人数は、JRについで相鉄が2位。横浜駅から4つ目の、天王町から帷子川沿いを星川へ歩くと、古き横浜の内陸工業地帯の面影を残しつつ、住宅地へと発展した様子がうかがえる。

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 JR直通線が相鉄線に乗り入れる最初の駅・西谷を過ぎて多摩丘陵をゆけば、神奈川県民にはおなじみの二俣川。運転免許センターのある街だ。

 さらに西へ進むと、ベッドタウンの瀬谷、小田急も接続する大和、かつて厚木基地への専用線が伸びていた相模大塚。海老名にいたっては、ロマンスカーミュージアムで、すっかり小田急のイメージに……。

 そして、二俣川駅から分かれるいずみ野線。1999年に湘南台まで延伸した。時代背景から想像できるかもしれないが、典型的な“ニュータウン路線”だ。

 このように、1917年に誕生した相模鉄道は、100年近く神奈川県からはみ出したことがなかった。そして沿線には観光地も少ない。ゆえに、東京の人たちをはじめ神奈川県民以外には、なかなか知られる機会がなかった。

 そんな拭い去れない“地味~”なイメージの相鉄。2017年に創業100周年を迎え、2019年にJRとの相互直通を実現。さらに2022年に東急との相互直通運転を控えている。そこで次の100年に残るような“相鉄らしさ”の追求と、世の中へのアピールをすべく、2015年にプロジェクトが本格始動。その名も「相鉄デザインブランドアッププロジェクト」だ。

 このプロジェクトを監修するのは、ミュージアムや展覧会などの空間プロデューサー・洪恒夫氏と、熊本県のPRマスコットキャラクター「くまモン」を考案したことでも有名な、クリエイティブディレクターの水野学氏で、これだけでも相鉄の本気度を感じられる。

 前述したネイビーブルーの車両を作っただけではなく、駅のデザイン、駅員の制服も続々とデザインをリニューアルしている当プロジェクトについて、本書では水野学氏に取材し、“相鉄らしさ”や、堂々と新宿に登場した「YOKOHAMA NAVY BLUE」の誕生の秘密になどについて、大いに語っている。また、このプロデュースによって相鉄の社員たちにも良い変化が起こっていったことなど、貴重な話も掲載。

 100年を超えて地元神奈川をつくってきた歴史をベースに、流行の先を走るクリエイティブディレクターの力を借りて、さらに変化している相鉄。まだ伸びしろもたくさんある。本書を手に取って、相鉄の魅力を知ってみてはいかがだろうか。

新宿駅で異彩を放つ、JR直通線用車両12000系

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この記事で紹介した書籍ほか

相鉄はなぜかっこよくなったのか (交通新聞社新書149)

著:
出版社:
交通新聞社
発売日:
ISBN:
9784330007212