マ・クベやテム・レイも登場!『機動戦士ガンダム バンディエラ』は元サッカー選手の兵士たちを描く新たな一年戦争譚

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更新日:2021/9/15

機動戦士ガンダム バンディエラ(1) (ビッグコミックス)

著:
出版社:
小学館
発売日:
機動戦士ガンダム バンディエラ
『機動戦士ガンダム バンディエラ』(加納梨衣:作、矢立肇、富野由悠季:原著/小学館)

 宇宙世紀0079、ジオン公国と地球連邦の戦争「一年戦争」でジオンの英雄の一人が“左利きのユーリー・コーベル”だ。

 彼の数奇な運命を描いた作品が『機動戦士ガンダム バンディエラ』(加納梨衣:作、矢立肇、富野由悠季:原作/小学館)である。

 ユーリーは、地球と各コロニーのチームが戦うサッカーリーグのスーパースターだった。そんな彼が、戦いの場をピッチから戦場に変え、巨大人型兵器・モビルスーツ(以下、MS)に乗って戦うことに。

 多くの若者たちが翻弄された「一年戦争」、本作の登場人物たちは、生きのびることはできるか――。

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“左利き”のMSを駆る元サッカー選手、好敵手と戦場で再会

 宇宙世紀でも、サッカーは世界的な人気スポーツだった。各コロニーと地球連邦政府のチームは、「ギャラクシーリーグ」で、サイド3のサッカー選手・ユーリー・コーベルは、その“左足”でスペースノイドだけでなく、地球のファンたちも魅了するスター選手だった。だが一年戦争により、彼の運命は大きく変わってしまう。彼以外のチームメイトが皆死亡してしまうのだ。

 失意のユーリーに、軍はMSに乗ることを強いる。彼の部隊には報道クルーが常駐し、国内では彼の戦う映像が流された。悲劇のヒーローの活躍で戦意を高揚させるのが目的だった。

 皮肉なことに、ユーリーはMSの操縦も天才的で、装備が左右逆な彼の愛機“左利きのザク”を戦場で止められる者はいなかった。

 敵を墜とし続けるユーリーの頭にあるのは、「何も考えず、期待に応え続けなければ」という思いのみ。そんな彼を変えたのが、ある敵パイロットとの邂逅である。

 彼の部隊は、地球連邦の補給物資の保管所で戦闘になった。そこで一機のジムが“左利きのザク”にサッカーのスライディングをくらわせる。そのジムを操縦するシモン・バラは、以前、ユーリーとピッチで戦った、地球連邦側の元サッカー選手だった。

 一対一のつばぜり合いの中で、ユーリーはサッカーの試合で相まみえたディフェンダーのことを思い出し、笑みを浮かべていた。2人の決着がつかないうちに、地球連邦の守備隊は撤退。戦場での彼らの初試合はドロー決着に。

 そのころ地球連邦が「オデッサ作戦」で勝利を収め、一年戦争は転換期を迎えるのだった。

オデッサの敗軍の将、ガンダムの生みの親も登場。悩めるジオンのバンディエラの運命は…

 シモンとユーリーは初対決のあと、各々の運命に影響を及ぼす出会いを果たす。ユーリーはオデッサから宇宙へ戻っていたマ・クベに呼ばれた。文化を愛する彼は「サッカーという文化を継承している君は、自身が後世へ続く文化になりえる。体を大切に」と告げる。ユーリーは彼に言われたことの意味を考え、悩む。

 そしてシモンはサイド6で要人の監視業務につく。その人物こそガンダムの開発者であるテム・レイだった。彼と交流をもち、ある新型MSのデータを手に入れる。

 なお作品名のバンディエラとは、イタリア語で「旗」の意味。サッカーでは同一チームに所属し続ける選手への敬称で、イタリア・ASローマのフランチェスコ・トッティや、川崎フロンターレの中村憲剛選手がそう呼ばれ、チームへの忠誠心をリスペクトされていた。

 ユーリーはジオンへ忠誠を誓い命がけのプレーを続ける、文字通り「旗」だ。彼の部隊は地球へ降下し、北米・キャリフォルニアベースで軍事パレードに参加。ユーリーが「旗」として陣頭に立つその模様は、ジオン国内に向けて大々的に放送された。そのプロパガンダ映像を見たシモンは、闘志を燃やす。元サッカー選手たちに二度目の対決の刻(とき)が迫る。

 本作はアニメ『機動戦士ガンダム』本編で描かれていない一年戦争の一部だ。ガンダムファンにはおなじみのキャラクターやMSも登場し、「ニュータイプ」についても描かれる。ますます盛り上がりを見せる『機動戦士ガンダム バンディエラ』から目が離せない。

文=古林恭

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