「伝える」ではなく「伝わる」話し方を! ベストセラー編集者が教える、本当に伝わる技術

文芸・カルチャー

公開日:2022/2/4

バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則
『バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則』(柿内尚文/かんき出版)

 自分の伝えたいことがイマイチ相手に届いていないような気がする……。あなたは日常の中でそんな気持ちになり自信をなくしたことはないだろうか。

 そんな人におすすめしたいのが、『バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則』(柿内尚文/かんき出版)。本書は、ベストセラー『パン屋ではおにぎりを売れ 想像以上の答えが見つかる思考法』(かんき出版)の著者・柿内尚文氏の最新作。

 ここに記されているのは、25年間編集者として1000人以上に取材してきた著者が見つけた「伝わる構造」と「伝わる技術」。雑談時はもちろん、面接やプレゼンなど、あらゆる場で役立つ伝え方のノウハウが具体的に紹介されている。

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「伝える」と「伝わる」は全くの別物

「伝える」と「伝わる」は一見、似ているように思えるが、主体が逆。「伝える」が自分主体なのに対し、「伝わる」は相手主体なのだそう。

 例えば、「言いたいことがよく分からない」と言われる人は「伝わる」ではなく、単に「伝える」話し方をしている可能性が高いと著者は指摘。両者の違いや「伝わる構造」を7階建てのビルにたとえ、分かりやすく解説している。

 著者いわく、「伝わる」には、「ゴール設定」「納得感」「相手ベース」「見える化」「聞く力」「親近感」「信頼感」といった7つのポイントが大切なのだそう。

 個人的にハッとさせられたのが、「親近感」も「伝わる」を左右する重要な要素になるという事実。伝え方というと、どう話すかというアウトプットに意識がいきやすいものだが、私たちは嫌悪感を抱く相手の場合は話をなかなか受け入れることができないため、親近感をもってもらうことは重要なのだという。

 ぜひ、7つのポイントをチェックして自分の伝え方を見つめ直してみてほしい。

否定を後押しする「極端語」はプラスの言葉に言い換え

 本書では、明日から日常の中に取り入れられる「伝わる法則」が具体的に知れ、心強い。

 例えば、何度もミスをする部下や約束を守ってくれない相手に対して、日頃、キツい言葉を放ち、心苦しさを感じている人におすすめなのが、言いかえの法則。「いつも」「全部」「ちっとも」など、否定をする時に使うことで、強烈に否定を後押しする「極端語」を別の言葉に言いかえてみるのだ。

 具体例を挙げるなら、「いったい何度言ったら分かるんだ」という強い言葉は「何度も言っているので分かってほしい」に。また、ミスをして落ち込んでいる人には「失敗は課題発見」という言いかえ言葉をかけるのもよい。

 なお、こうした言いかえは自分自身に対してかけるのもあり。すると、モチベーションがあがったり、ストレスが軽減されたりと様々なメリットが得られるのだという。

 伝える技術を身に着けること。それは、自己成長とセルフケアにも繋がるのだ。

「重箱の隅をつつく人」への効果的な対策は?

 世の中には様々な価値観の人がいる。癖のある相手と関わらなければならないことも多い。そうした人への対策が知れるのも、本書の特徴。

 例えば、重箱の隅をつつくような質問をしてくる人への対応策。本来の議題からずれた狭い領域での議論をしていくのは得策ではないので、できるだけ相手を否定せずに受け止め、議論が本質(ゴール)からずれないようにしていくとよいのだそう。著者いわく、会議であれば次のように「ゴールを改めて共有すること」がポイントなのだとか。

“ご指摘ありがとうございます。確かにおっしゃるとおりです。今日の会議のメインの目的が○○だったので、ディテールの部分がまだ詰められていないことがあります。ご指摘の箇所は、今日の会議で○○の部分の承諾をいただけたら、次に取り掛かりたいと思います。貴重なご指摘ありがとうございます”

 ゴールを見える化するこの対策は「すぐに否定する人」にも効果的とのこと。

 自分を守ることができ、相手との関係を好転させる著者のテクニックは人付き合いに悩んでいる方の人生を変えてくれるはずだ。

文=古川諭香

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