ハートフル・デッド! ポップでファンタジー。こんなベトナム戦争もアリ?

コミック

2012/11/2

ディエンビエンフー (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 小学館
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:西島大介 価格:432円

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戦争をモチーフとした作品は、古今東西数多く存在します。私利私欲、死生観、人生観、暴力にエゴ。人間のありとあらゆるものが剥き出しになり、生物として丸裸になる様相は、老若男女問わず、普遍のテーマとなります。映画も非常に多く、『バルジ大作戦』に『地獄の黙示録』、『史上最大の作戦』、『フルメタル・ジャケット』、『フォレストガンプ』に『プラトーン』。名作には事欠かないジャンルであります。さて、そんな戦争モノですが、個人的には非業なテーマと共に重要な要素が、銃器や兵器の登場ではないかと思います。普段は伺い知ることの出来ない軍隊の様子や、銃器や戦車、戦闘機が起こす一大スペクタクル!男子としては、非常に胸が熱くなるものです。

―――が、しかし!!
本作ディエンビエンフーは戦争モノでありつつ、そういった鉄臭さをスッパリと排除した作品なのであります。ガガーーン!

舞台は1960~70年代のベトナム。そう、泣く子も黙るベトナム戦争であります。主人公は戦争カメラマンの青年・ヒカル。あのスターズ・アンド・ストライプスの記者でちょっとマヌケ。右も左も分からぬままに戦地へと到着したヒカルは、大振りなナイフ片手に戦う、美しくも奇妙なベトコンの少女に出逢います。「ンククッ!」と無邪気な笑みを浮かべながら、弾丸より早く、かまいたちのようにアメリカ兵を倒していく少女。彼女の強さは折り紙つきで、特殊部隊グリーンベレーの精鋭達すらあっさりとなますにしてしまう程です。

「彼女にイカれちまった」
九死に一生を得たヒカルは、彼女の姿を追って戦禍へ身を投じるのでした―――。

この、ありそうでないようなお話が、西島大介氏の徹底したデフォルメ世界で繰り広げられます。ミリタリーオタクの喜ぶような描写とは潔く決別! 鉄臭い銃も戦車も簡略化されて、まるでおとぎ話のようなラブストーリーが、泥沼戦争の渦中で紡がれていきます。しかし、「物足りねェよ!」ということはなく、むしろポップな絵柄だからこそ、エッジの利いたハードコアな戦争の様子がより際立つ結果に…。

従来の戦争モノに一石を投じるだけでなく、漫画の中で見ても、なかなか不思議な立ち位置の本作。うーん、こういうのもアリでしょう!!


用心棒の冒頭…とは真逆のシーン

すっぽんぽんです(でもメチャクチャ強い)

悲しいけどこれ、戦争なのよね
(C)西島大介/小学館