心身の不調は“浅い呼吸”が原因!? マスク生活でも「隠れ酸欠」になりにくい呼吸改善メソッド

暮らし

公開日:2022/4/15

大きく息をするだけで健康になる──たった1分で改善!
『大きく息をするだけで健康になる──たった1分で改善!』(小池義孝/自由国民社)

 長引くこのマスク生活では、「呼吸のしづらさ」が話題にのぼることが増えた。実際、日常的に呼吸時の息苦しさに悩んでいる人も多いのではないだろうか。

 そんなご時世だからこそ手に取ってほしいのが、呼吸を通して自分の健康を考えることができる『大きく息をするだけで健康になる――たった1分で改善!』(小池義孝/自由国民社)。

 著者は、東京にある「気功治療院 一義流気功」の院長。60万部突破のベストセラー『ねこ背は治る! 知るだけで体が改善する「4つの意識」』(さわたりしげお:絵/自由国民社)を手掛けたことでも知られている。

 本書では、浅い呼吸が肩こりや頭痛、不眠といった不調を引き起こす理由を分かりやすく解説。イラストを交えて、呼吸を深くする方法も伝授している。


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浅い呼吸はなぜ体調不良を引き起こすのか?

 肺は心臓と違ってそれ自体では動かず、肋間筋や横隔膜などの多くの筋肉(呼吸筋)が連動することで収縮している。

 そのため、その中のひとつの筋肉が硬直すると、周辺の血行が悪くなり、硬直範囲が広がっていくと著者は指摘。

“浅い呼吸が血行を悪くし、血行の悪さが硬直を進行させ、その硬直がさらに血行を悪くし……と負の相乗効果と連鎖で、状態が悪化していきます。”

 すると、体温の低下や頭のぼやけ、首・肩・背中・腰のこりや痛み、内臓機能や免疫力の低下、便秘などといった様々な不調が現れるようになるのだとか。

 そしてさらに、呼吸が浅く苦しくなる人はどこかの呼吸筋が硬直し、十分に連動性がとれず、肺を大きく収縮させられない状態なのだそう。

 この場合は、1回の呼吸で吸収・排出できる酸素と二酸化炭素が少ないため、回数でカバーしようとして浅くて速い呼吸に。カバーしきれないと「隠れ酸欠」が引き起こされ、心身に不調が現れてしまうこともあるという。

 そこで著者は、呼吸を深くすることで体に“正の連鎖”を引き起こし、不調を整えようと提案している。

手軽で簡単! 呼吸を深くする「4つの意識修正」

 浅い呼吸を改善するため著者が勧めるのは、今すぐできる「4つの意識修正」。

①舌の位置を上げてみよう
②肺の場所と大きさを、正しく知ろう
③胸式呼吸または腹式呼吸→胸式+腹式の全体呼吸
④ねこ背を直して、姿勢を正そう

 例えば普段、口呼吸している人は舌の位置を固定する筋肉が衰え、鼻呼吸よりも口呼吸が楽になり、癖になってしまっていることも多いそう。

 そのため、口の底ではなく、口の天井になんとなく触れ、舌先が前歯の裏に当たるくらいの位置に舌を上げ、毎日数分間、鼻呼吸をしようと著者はアドバイス。

大きく息をするだけで健康になる──たった1分で改善!

 これを繰り返すと、舌を上げておく筋肉が鍛えられ、「この位置に舌があると呼吸が楽だ」と脳が認識。やがて、無意識の呼吸にも反映されるようになるのだそう。

 また、個人的にチャレンジしてみたいと思ったのが、呼吸を浅くしてしまうねこ背の改善効果が期待できる「大腰筋ウォーキング」。

大きく息をするだけで健康になる──たった1分で改善!

 大腰筋は上半身と下半身とを連絡する、唯一の大きな筋肉。

大きく息をするだけで健康になる──たった1分で改善!

「大腰筋ウォーキング」は背骨を起点にして足を動かすため、姿勢のいい歩行ができる。

 著者によれば、ある程度運動量があって歩いている人であれば、普段の歩行を「大腰筋ウォーキング」に変えるだけで、ねこ背モードの体が自然と正しい姿勢に修正されていくのだとか。

 取り組む時は大腰筋の付け根で「鳩尾(きゅうび)」と呼ばれている、みぞおちのあたりから足を前に出すよう意識し、歩くのがポイントなのだそう。

 著者は他にも、呼吸の浅い・深いを判定できるセルフチェック法や自宅で簡単にでき、より呼吸を深くする「呼吸筋エクササイズ」も紹介しているので、そちらもチェックだ。

 もちろん、著者が公開している呼吸改善法は万能なものではなく、得られる効果には個人差がある。だが、本書は自分の心身を労わることの大切さに気づくきっかけを生む一冊となってくれるはず。

 何かと健康への心配が尽きない日々を余儀なくされている今こそ、これを機に、自分の体や感じている不調と向き合う時間を作ってほしい。

文=古川諭香

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