端午の節句は、かつて女性が主役だった!? 季節ごとの日本の行事の由来や開運ポイントがわかる本

暮らし

公開日:2022/4/26

福を呼ぶ四季の習慣 小さな日本の行事
福を呼ぶ四季の習慣 小さな日本の行事』(本間美加子/主婦の友社)

 桜が終わった東京では、だんだんと青葉が濃くなってきた。こうしたちょっとした自然の変化から季節を感じることができるのも、四季がある日本だからこその幸せだろう。古くから私たちは、そうした季節を目印にして多くの「年中行事」を暮らしの中に位置付けてきた。たとえば春ならお花見、お彼岸、夏なら七夕、土用…実はこうした年中行事の多くには「福を招く力=ご利益」があるのだという。『福を呼ぶ四季の習慣 小さな日本の行事』(本間美加子/主婦の友社)は、そんな四季折々の行事の「ご利益」に注目して、普段の暮らしでもっと気軽に楽しむ方法を紹介した1冊だ。

「『年中行事』と聞くと、少し堅苦しく感じるかもしれません。ですが、今を生きる私たちと同じような『なんか、いいことないかなぁ……』『このモヤモヤをリフレッシュしたい!』『幸せがやってきますように』といった、小さな願いと祈りが年中行事を形づくってきたのだと思います」と、著者である日本の伝統行事に詳しい本間美加子さん。本書では昔から日本で親しまれてきた二十四節気(太陽の動きをもとに1年を24等分してあらわす季節の目安)と旧暦の季節の行事の由来を入り口に、「開運プラスワン!」として開運にまつわるミニコラムや「TO DOリスト」としてさらにご利益を授かるためのアクションなど、年中行事を自分なりに楽しむ知恵をいろいろ教えてくれる。

福を呼ぶ四季の習慣 小さな日本の行事 p.12~13

 たとえばもうすぐ5月5日の「端午の節句」がやってくる。男子の健康と成長を願う節句として知られる行事だが、実はかつての主役は女性たちだったとか(もともとは古代中国の風習と日本の女性が菖蒲やよもぎで屋根をふいた家の中で身を清めて息災を願う風習が混じったもの。江戸時代に菖蒲が「勝負」や「尚武」につながり男子の節句となったのだ)。この日にぜひ取り入れてみたいのは「菖蒲湯」だ(「TO DOリスト」より)。昔からすがすがしい香気が邪気や魔物を祓うと考えられてきたが、実際に菖蒲の芳香にはアサロンやオイゲノールといった成分が含まれ、疲労回復や血行促進に効果アリ。疲れやストレスといったいまどきの邪気を祓ってくれる。ちなみにお約束の「柏餅」は、新芽が若葉となるまで古い葉が落ちない柏に一家繁栄の願いがこめられている(「開運プラスワン!」より)。美味しく食べれば家族の幸せも祈願できるわけだ。

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福を呼ぶ四季の習慣 小さな日本の行事 p.46~47

福を呼ぶ四季の習慣 小さな日本の行事 p.48~49

 おなじみの季節の行事でも、このように由来や開運ポイントを知るとぐんと興味がわいてくるものだ。本書では春の「立春」から冬の「節分」まで、良縁を呼んだり邪気や病を祓ったり福を招いたりする38の行事を紹介してくれるので、多くの発見があるだろう。なお「TO DOリスト」で紹介するアクションも特別な道具は不要で家庭で簡単に行えるものばかりなので、ぜひ実践してほしい。

 四季の豊かな日本に暮らして、バタバタと月日を過ごしてしまうのは実にもったいない…本書をパラパラながめるだけでも、そんな気持ちになってくる。本書を参考に季節の行事をちゃんと楽しんだら、もっと毎日が楽しくステキになりそう。さらに「ご利益」まであるなんて…これはやるしかないでしょう!

文=荒井理恵

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