穏やかに生きるには? 不完全なありのままの他者を認め、受け入れ合うことの大切さ/自分を否定しない習慣

暮らし

公開日:2024/2/8

 人間関係が苦しい、周りの人と比べて落ち込んでしまう、自分で自分を認められない――。それらが原因で生きづらさを感じている方はいませんか?

 嫌なイライラ、怒り、つらさがスッと消える“4つの習慣”を、これまでに4000人以上看取ってきたホスピス医・小澤竹俊先生が考案。著者累計50万部を超える名医が、一度きりの人生を自分らしく、好きに生きる方法を教えます。

 私たちは誰もが、いつか必ずこの世を去ります。そのとき、自分自身に対して「お疲れ様でした」と思えるように、本当の自分らしさを見つけ、後悔のないよう前を向いて、今日という一日を生きていきましょう。

※本作品は書籍『自分を否定しない習慣』(小澤竹俊/アスコム)から一部抜粋・編集しました

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自分を否定しない習慣
『自分を否定しない習慣』(小澤竹俊/アスコム)

自分も人も否定せずにいられる穏やかな生き方を

いじめの記憶に苦しむ中学生の女の子の気持ちを救った、友だちの存在

 以前、ある中学生の女の子から、次のような話を聴いたことがあります。

 彼女はかつて、いじめに遭ったことがありました。

 クラスメートも教師も助けてくれず、「なぜ自分がこんな目に遭わなければならないのか」「もう生きていたくない」と、自傷行為を何度も繰り返したそうです。

 学年が変わり、いじめていた相手と別のクラスになると、いじめはなくなりましたが、彼女の心には深い傷が残りました。

 とにかく他人が怖く、世の中にも自分の人生にも希望が持てず、毎日「消えてしまいたい」とばかり思っていたのです。

「誰かに話を聴いてもらいたい」という気持ちもありましたが、親も教師もクラスメートも誰も信じられず、自分が負った心の傷や弱い部分を人に見せる勇気がなく、モヤモヤした思いをずっと抱えていました。

 ところがある日、たまたま、それまであまり話したことのない友だちと二人きりで会話をする機会がありました。

 その友だちの穏やかな雰囲気に安心感を覚えた彼女は、思わず、過去にいじめられていたことや、今の自分の気持ちをすべて話しました。

 すると相手は、彼女が話し終えるまで、何も言わずに静かに話を聴き、最後に「今までいじめに遭って苦しかったんだね」とだけ言ってくれました。

 その言葉に「弱いところを見せてもいいんだ」と思うことができた彼女は、ようやく前を向いて生きられるようになったそうです。

 友だちが「わかるよ」と言っていたら、もしかしたらこの女の子は「あなたに私の苦しみがわかるわけがない」という気持ちになったかもしれません。

 でも、友だちは、話を丁寧に聴き、すべてをそのまま受け止め、「今までいじめに遭って苦しかったんだね」とだけ言ってくれた。

 だからこそ、彼女は「友だちが私の気持ちをわかってくれた」と思うことができたのでしょう。

 また、友だちが、弱い自分をそのまま認めてくれたことで、何度も死を考えていた彼女は、前を向いて生きられるようになりました。

人は、弱い自分を受け入れたときに、初めて他者の弱さを受け入れられる

 彼女の話から、私は二つのことを感じました。

 一つは、「弱い自分でも、そのまま受け入れてもらえる」「弱いところを見せてもいい」と思える存在に出会えたとき、人は「この人は、自分の気持ちをわかってくれている」と感じ、大きな安心を覚えるということです。

 それは、特に苦しみを抱えている人にとって、希望となり、生きていくうえでの支えとなります。

 そしてもう一つは、弱いところも含めて、彼女をそのまま受け入れた、友だちの強さです。

 私は、この友だちは、自分自身の弱いところも認め、受け入れられる強さを持っているのではないかと思います。

 人は、弱い自分を認め、受け入れたときに、初めて他者の弱さを認め、受け入れることができる。

 これは私の持論です。

 今の社会では、「競争に勝つこと」「強いこと」「富や名誉、お金など、たくさんのものを所有すること」が幸せであり、社会のために働き、社会の役に立ってこそ、生きる意味、存在する意味があると思われがちです。

 そうした、社会によって作られ、刷り込まれた価値観に惑わされず、弱い人、他者の弱い部分をそのまま受け入れることができる人は、残念ながら、あまり多くはありません。

 特に、「自分は強い」と思いたい人、自分の弱さが認められない人は、他者にも強さを求めたり、他者の弱さを責めたりしがちです。

 自分の弱さが原因で起きたことの責任を、他者の弱さに転嫁することもあるかもしれません。

不完全なありのままの他者を認め、受け入れ合える社会を

 しかし、自分の弱さを認め、受け入れている人は、「自分が完全ではないように、他者も完全ではない」ということを、心から理解できます。

 社会の価値観に惑わされず、自分の価値観で自分や他者を見つめることができます。

 また、自分や他者に対して「自分は強い」「自分は間違っていない」と言い聞かせる必要がなく、自分や他者を責める必要もありません。

 そのため、他者の弱さを認め、受け入れることができるのです。

 そして、先ほどご紹介した生徒のように、自分の弱さを認め、受け入れてくれる人が一人いるだけで、人は深い絶望の中でも生きる勇気を得ることができます。

 ですから、みなさんも、ご自身の弱さを認め、受け入れることができたら、どうか苦しんでいるほかの誰かの弱さを認め、受け入れられる人になってください。

 互いに、不完全なありのままの他者を認め、受け入れ合っていくこと。

 それが、今後の大変な社会の中で、人が穏やかに、幸せに生きていくためにとても大事で必要なことだと、私は思っています。

<続きは本書でお楽しみください>

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