『この英語、どう違う?』「god」と「God」/【連載第9回】

生活

2019/5/5

『この英語、どう違う?』(ルーク・タニクリフ/KADOKAWA)は、日本人が間違いやすい、似た意味を持つ2つの英単語の違いを分かりやすく解説した1冊です。どれも日本人になじみ深い単語なので、しばらく英語から離れていた人でも楽しく読めることうけあい。ここで、本書で紹介している英単語を10組ピックアップして紹介します。第9回は「god」と「God」の違いです。

god vs. God ――宗教的信念で表記が違う「神様」

 godという単語は、大文字で書くか、小文字で書くかにより、意味が変わってくると知っていますか? 英語では、固有名詞を書くときには大文字を使いますが、普通名詞は小文字になります。godが固有名詞か普通名詞なのかは、自分の宗教的信念によって変わります。たとえばキリスト教徒なら、キリスト教は一神教の宗教で神は1人なので、Godは神様の名前、固有名詞として考えます。ですからキリスト教徒は、自分が信仰する神について表記する場合、常に頭文字のgを大文字にします。

Help me God!
(どうか私をお助けください!)

I swear to you God that I will be good from now on!
(神様、これから私は善人になると誓います!)

 しかし、神道、ヒンドゥー教、古代ギリシャの宗教などのように、多神教の場合、神様は複数います。そのため、god は神の名前という考え方ではなく、超自然的存在を示す普通名詞だととらえます。たとえば、古代ギリシャの有名な神様の Zeus について考えてみましょう。Zeusは神様の名前ですので、godはZeusの名前ではなく、Zeusの本質を表す名詞となります。この例がわかれば、なぜ多神教について話すときに小文字のgodを使うのかがわかるかと思います。

There are thousands of gods living in this forest.
(この森には何千もの神が生きている)

A: Who is your favorite Greek god?
B: I like Hermes.
(A:一番好きなギリシャの神様は誰?)
(B:私はヘルメースが好き)

According to scriptures, there are three hundred million Hindu gods.
(経典によると、3億ものヒンドゥーの神様がいます)

 英語圏の人は、驚いたときに「Oh my God!」とよく言います。しかし、自分の宗教が神道である人がこれを書くとき、小文字と大文字、どちらを使うのでしょうか。

 理論的には小文字が正しいです。しかし、これはキリスト教に由来するフレーズなので、大文字を使うのが正解です。

まとめ

 多神教の神はgod、一神教の神はGodと表す。

第10回に続く

【著者プロフィール】
ルーク・タニクリフ(Luke Tunnicliffe)

1982年イギリス生まれ。イギリス人の父とアメリカ人の母を持つ。13歳までイギリスで暮らし、その後アメリカのノースカロライナ州の高校に転校、イギリス英語とアメリカ英語の違いを経験。Wesleyan Universityを卒業後、雑誌編集者/記者の仕事を経て、2005年、JETプログラムで来日。新潟の中学校で2年間英語教師をつとめ、その間に日本語を学ぶ。2008年に再来日。英会話講師とビジネス翻訳の仕事をしつつ、東京大学大学院にて翻訳論を学ぶ。
2010年に開設した自身のホームページ「英語 with Luke」は開設直後からコアな英語学習者の間で話題となる。「元気ですか?を意味する20のフレーズ」「ハーフは英語で何というか」「セミコロンの使い方」といった、初心者から上級者までレベルを問わず楽しめる記事でまたたく間に人気を博し、月間150万PVを記録する破格の人気サイトとなっている。
英語 with Luke:https://www.eigowithluke.com/
Twitter:@eigowithluke

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