過ちは「努力不足」ではなく「システムエラー」西野亮廣『新・魔法のコンパス』⑩

ビジネス

2019/7/14


“現代の革命家”西野亮廣氏の10万部のベストセラー、『魔法のコンパス』から3年。時代に対応し、西野氏が「1時間前後で読める本にする」という意図で執筆した文庫本が『新・魔法のコンパス』(KADOKAWA)だ。めまぐるしくルールが変わる現在、そして未来の歩き方とは?

【第1章 お金】

キミの過ちは「努力不足」ではなく、「システムエラー」だ。

 働き方には三つの選択肢がある。

『専業』か『兼業』か『複業』のどれかだ。

 キミの人生は、どこまでいってもキミのものだから、

 職業を一つに絞る「専業家」になるべきか、

 メインの職業とサブの職業を持つ「兼業家」になるべきか、

 それとも複数の職業を掛け持つ「複業家」になるべきか、

 その答えを決めるのはキミ自身だ。

 キミの人生の責任を取ることができないキミ以外の人間が、キミの決断に口を挟むべきではないとボクは考えている。

 ただ、もしアドバイスを求められたら、今の時代なら、ボクは『複業』をオススメするかな。

 それはボク自身が、これまで複業の恩恵をたくさん受けてきたからだと思う。

 転機となった「25歳」

 ボクの人生の転機は忘れもしない。

『はねるのトびら』(フジテレビ系)というレギュラー番組がゴールデンタイムに進出して、日本で一番視聴率をとっていた25歳か26歳の頃(忘れた)。

 その頃に限界を見て、テレビから軸足を抜いて、絵本を描き始めた。

 ま、その辺の詳しい話は『新世界』という本に書いたので、そっちを読んでね。

 さて。

 何のアテもなく突然絵本作家になっちゃったわけだけど、絵を描くのが得意だったワケでもないし、出版のノウハウもコネもツテもない。

 世界に目を向ければ、同世代で、すでに圧倒的な結果を出している絵本作家もいる。

 ここからどうすれば、この糞ド素人が世界中の絵本作家をゴボウ抜きできるか考えるわけだけれど、考えて間もなく、「皆と同じやり方をしてしまうと、とても世界の頂点には辿りつけないな」と結論した。

「位置について、ヨーイ、ドン!」の戦いは早々に捨てて、すでに世界中の絵本作家さんに自分が勝っている部分を探して、そこで戦うことにしたんだ。

 とは言っても、こちとら、ど素人だ。

 画力も負けているし、出版のノウハウもコネもツテもない。

 当たり前の話だけど、素人のボクは、プロの絵本作家さんに負けているところだらけだったんだよね。

 でも、ただ一つだけ勝っている部分があった。

『時間』だ。

 ここでいう『時間』というのは、「一つの作品にかけることができる制作時間」のことね。

 複業家に許された「無限の時間」

 プロの作家さんは、その作品の売り上げで生計を立てているので、短いスパンで作品を発表し続けなければいけない。

 一方、食うには困らない程度に売れている芸人だったボクは、絵本の売り上げがなくてもギリギリ生きていけるので、極端な話、一つの作品に10年かけることだってできる。

 専業家は、一つの作品に制作時間をかけることはできなくて、複業家は、一つの作品に極端な制作時間をかけることができるわけだ。

 すぐに文房具屋さんに走って、市販されている中で最も細いボールペンを購入して、絵本のストーリーも、「20ページ」ほどで完結する絵本が多い中、ボクの絵本は「40ページ」。

 つまり、制作時間が「かかるように、かかるように」作り方をデザインしたわけだ。

「この作り方をしてしまったら、3〜4年かかっちゃうよね」というコスパの悪い作り方を選んだ。

 専業の絵本作家さんには、こういった作品を作ることができない。収入が3〜4年止まってしまうことになるからだ。

 こうして、ボクは一冊完成させるまでに3年もかかってしまう『えんとつ町のプペル』のような作品を作れる切符を頂いたわけだけれど、それはボクに「才能」や「センス」があったわけじゃなくて、ボクが『複業家』で、収入源を上手く整理して、時間を作れたからだ。

 これで第1章も終わるから、そろそろ、まとめるね。

 もし、今のキミの挑戦が上手くいっていないのであれば、それはキミの「努力不足」などではなく、キミの仕事のシステムにエラーがある可能性が高い。

 たとえば、「制作に3年をかける超大作絵本を作りたいのに、絵本の印税をメイン収入源にしてしまっている」といったシステムのエラー。

 この場合、システムを改善しない限り、「超大作絵本を作りたい」という夢は一生叶わない。

 お金と真摯に向き合い、

 お金の常識を疑い、

 キミの目的に対して正しいアプローチをするんだ。

 時にそれは「非常識」だと揶揄されてしまうかもしれないけど、キミの人生はキミのものだ。

 キミの姿形や、キミが背負い込んでいるものは、他の誰とも違っていて、そもそも世間のルールとピッタリ合うわけがないんだよ。

 常識なんて明日には変わるんだから、非常識で結構。

 キミのルールで動くんだ。

 そのルールに悪意がなければ、少し時間はかかるかもしれないけど、世間は必ずキミを理解してくれるよ。

 大丈夫。

■まとめ
キミの挑戦が上手くいっていないなら、仕事のシステムに問題がある可能性が高い。
お金と真摯に向き合い、目的に対して正しいアプローチをしよう

続きは本書でお楽しみください。

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